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【初心者向け短編講座】7ラスト 赤星講評④ 創作は孤独ではない

 それではラストです。前半三回のみこちゃんの基礎論と、それを実際に作った小説をプロの作家の方が論評してくれた。非常に充実した講座になったのではないかと思います。

 後いくつか、重要な課題点の指摘があるので、そのご紹介とみこちゃんの課題提出を書いてみます。これもここに書くのが始めてで、赤星先生が何と言うかわからない。どきどき真剣勝負です。

こけた

 この改稿、作品がすでに『THE NEW COOL NOTER賞』文芸部門提出済みなので、手を加えることはありません。文芸部門審査が終わった後に、また先生のご意見お聞きしながら修正するのが楽しみです。
太字引用部分が赤星さんの講評です

  三人で道路に小一時間ほど座り込んでいた。奇異な目で通り過ぎる人が見ていた。まるで、美しい風景が映画のフィルムを回すように目の前を通り過ぎていった。

別に難しい言葉など一切使わずに、主人公の心情と情景を描写している。
あえて言うなら「美しい」を違った表現にしたほうがよかった。

「美しい」を違った表現にしてみました。

 三人で道路に小一時間ほど座り込んでいた。通り過ぎる人が奇異な目で<私たちを>見ていた。まるで<目を近づけたカメラのレンズの先を見るように、静かに>目の前を通り過ぎていった。

 自分ではいけたと、思った。どうだろ。どきどきだな……。

また、この小説は2620文字だ。3000文字までには、あと400字近く書ける。
だとしたら、高校三年生時の両親との具体的な会話の描写があったほうが、最後にもっと泣けるのではないかと思った。
または、いじめの生々しい場面を書くなど、前半部分で主人公が苦しむさまを描写したら、最後の部分が盛り上がるのではないかとも思った。
ただ、加筆したら、加筆した部分が目立ち、テーマがぼやける可能性もあるので、非常に難しいところ。
ただ、あと400字使って、もう少しなにかを書いて欲しかった。

  いじめの描写はおそらく、もう少し字数がないと、先生のおっしゃるように、テーマが薄くなる気がしましたので、高校三年時のエピソード、卒業式前日の話を追加しました。

 六年ほど空白期間があった後、父は楽しそうにプリントされた写真を貼っていった。まるで、親子の会話の空白期間を埋めるように。

 この直後に挿入しようと思います。

 私が子供のような演技をしたせいだろうか。父は昔作っていた家族のアルバムを取り出して、よく眺めるようになった。楽しそうに写真を指差しながら、私に見せていった。

「このおじいちゃんとおばあちゃんを含めた五人の写真はね、パパの写した写真じゃない。お前のおじいちゃんがうちに来てくれたときに、立つ場所なんかをいろいろ言ってくれてさ。自分もオートタイマーをした後、あわててみんなに加わって写してくれたものだ」

 微かにあの日のことを覚えている。

「来てくれる直前になぜだか理由は忘れたが、お前はなんだか、お父さんとお母さんに不機嫌になって、いろいろと言って泣き出したんだ。
 でも、玄関のチャイムが鳴ったらお前は飛ぶようにして洗面所に言って涙を拭いた。そして、満面の笑顔でおじいちゃんとおばあちゃんを玄関で迎えてくれたね。それがこの五人の笑顔だ。

 あの夜母さんと、まったくいい子が世の中にはいたもんだな。布団の中でうなずきあったよ」

「へえ、いい子じゃんその子」

 母がそれを聞きつけて、キッチンの後ろから笑い声を立てた。

今の私は、その時のように素直に笑えているのだろうか。
卒業式の前日ちょっと不安になった。

 というわけであります(^-^)。

 小説を書くのには、才能や努力も大事だと思います。でもそれ以上に大切なのは、率直に心から自分の作品を論評してくれる人の存在だと思います。それがたとえ時には辛口に聞こえたとしてもです。

 作者の方に 描写のための描写をやってはだめだよとアドバイスするとともに、我々審査委員も批評のための批評はやりません。両方ともかなりの実力がないと、自己目的化したところに陥ります。でもご安心ください。我々『THE NEW COOL NOTER賞』審査委員の実力は傑出しています。

(^~^)エッヘン。安心して作品をご応募ください。

『THE NEW COOL NOTER賞』が「褒めてもらって勇気をもらいながら、もっといい作品に仕上げたいな」そんな皆さまのお役に立てれば、審査委員一同こんな幸せなことはありません。

 文芸部門、そしてその他の部門も、こんな感じで運営してまいります。

 どうかよろしくお願いたします。

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