影の中の真実(第2話)
act.2
「口下手で、そして口を開いて勇気を振り絞って話をしても、それがまったく伝わらない。
それどころかその正反対の意味にとられてしまう。そこからなにかおかしくなる。
そんな風に一生涯を送った人も多いのよ」
「……」
「私達の影は、この世に生きる未練じゃないの」
「……」
「影になったら、きっと自分の思いを気がついてもらえる、と思って亡くなった人がたくさんいる。
そんな人達が今も道を歩いてる。あなたはそれが見えるのね」
「見えます」
「小さい頃から、路に映る私の影が、私の影が私じゃないこといっぱいありました。
私はショートヘアなのに、路に映る私の影はロングヘア。私は女性なのに、肩幅の広い男性の影になってたこともあります」
「そう……」
「私はどうしたらいいんでしょうか」
「そうね……」
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