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みこちゃんの小説集~夜の観覧車

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今日も世界はギリシア悲劇を上演し、 人の世の悲喜こもごもはまるで観覧車のように巡り移ろう。 ここの小説達は、貴方の元へと届くことを願う言の葉の紙飛行機。 どれか一つでも、貴方の心… もっと読む
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2020年8月の記事一覧

影法師から目をそらさずに(終話)

ぼくは朝起きたらよろけたんだ あれは夢だったのか…… その現実が受け止められなくてね ど…

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影法師から目をそらさずに(第4話)

(第四話) 涙を流しながら 自分の影法師を踏みました 踏めるんだね 泥の中に蓮の葉が育つ…

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影法師から目をそらさずに(第3話)

(第三話) 影法師を踏むことは 寂しいけれど一つの出逢いであり 別れであるんだよ もう「…

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影法師から目をそらさずに(第2話)

(第二話) 「消えるものの中に本当のものがほの隠れする」 静かな口調だったけど君はしっかり…

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影法師から目をそらさずに(第1話)

(第一話) むかし君はいっていたね 影法師にはその人の魂が宿るんだって 学校帰りのデート…

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影の中の真実(終話)

翌日は普通に学校に行った。 でも途中下車して学校はサボった。 また、聞こえたからだ。 おね…

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影の中の真実(第3話)

act.3 女の私がみてもきれいな人だった。 道を歩く多分男性が三度見するような。 その女性の霊、とりあえず霊なんだろな。 しずかに詩を詠むように、私に対して――というより、 私だけが見える往来の皆さんに静かに歌いだした。 何が欲しいというの 私 それとも愛 つばさいやす鳥たちも 私を欲しいとさわがしい こわれたおもちゃ箱を 子供みたいに 抱えこんで 涙ぐんで それでどうなるの 何が欲しいというの 私 それとも愛 疲れはてた心には やさしくしないで させないで

影の中の真実(第2話)

act.2 「口下手で、そして口を開いて勇気を振り絞って話をしても、それがまったく伝わらない…

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影の中の真実(第1話)

act.1 夏の日差しが背中を射抜く頃、高校の校舎を出る頃、また強い影が後ろから私をつかまえ…

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イソップ(終話)

act.8 Pathetique Sonata 朝の4時くらいに二人で広いひのきの温泉に入った。 「涼子、ずい…

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イソップ(第7話)

act.7 さよならのぼくの妹 「お前これ知ってるか」 涼子の目を見ず語った。 兄が一切両親…

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イソップ(第6話)

act.6 兄のことと…… セーラー服をクシャクシャにして抱き合いながら、涼子の目をそっとみ…

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イソップ(第5話)

act.5 涼子の思い 朝、学校の下車駅で涼子に合った。 目が充血して真っ赤だった。 「風邪…

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イソップ(第4話)

act.4 イソップ物語 「全部名前はしってるよな」 「はい……」 「どれがすきだ?」 私が3歳位のときに父からプレゼントされた本を渡した。 「すいません、一日時間をください。そして私のことを見捨てないでください」 涼子の言葉に私は頷いた。 『アリとキリギリス(アリとセミ、アリとセンチコガネ)』 『蟻と蛹』 『ありとはと』 『田舎のネズミと町のネズミ』 『犬と肉』 『ウサギとカメ』 『嘘をつく子供』 『馬をうらやんだろば』 『泉のほとりの牡鹿とラ