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みこちゃんの小説集~夜の観覧車

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今日も世界はギリシア悲劇を上演し、 人の世の悲喜こもごもはまるで観覧車のように巡り移ろう。 ここの小説達は、貴方の元へと届くことを願う言の葉の紙飛行機。 どれか一つでも、貴方の心… もっと読む
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2020年3月の記事一覧

【長編小説】真夏の死角17 ヨンパチ以後

「さすがに疲れた顔してるわね」  午前1:00…  恵理子が前日の「報道ABC」の放送終了後の…

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【長編小説】真夏の死角16 『週刊文秋』特集号

「もう一度よく読んで」  川崎恵理子は呆然として言葉を失っている美姫から、いったん週間文…

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【長編小説】真夏の死角15 明宏の母

 川崎恵理子は上司の報道局長を連れて徳田商業を訪れ、学校側の恣意的な情報隠しとも取れる篠…

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【長編小説】真夏の死角14 野球友達

 申し訳無さそうな顔が印象的な二人だった。  澤田明宏の存在のせいでレギュラーになれなか…

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【長編小説】真夏の死角 13無期停学

「美姫、大丈夫なのか」  槇村慶次は厳しい顔をして保健室の扉を開けた。  ホームルームが…

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【長編小説】真夏の死角 12動機なき犯罪

 学校のいじめに新規性は要らない。  全ては昨日の晩に覚悟した既視感のとおりだった。  …

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【長編小説】真夏の死角 11大誤算

 夕方慶次と別れたあと宿題や夕食を済ませ、美姫はわくわくしながら毎朝テレビの「報道ABC」の開始時刻を待った。8:56の変則スタートで最初の4分間に番組のダイジェスト的なものをいつも流している。  ダイジェストのときには、当然今世間を騒がせている「離島殺人事件」が番組の目玉として紹介されていた。  国内、国際の政治情勢や今日の株価の終値など、美姫にとってはあまり興味が持てない番組がしばらく続き、9:35分くらいからフェードインの大きな文字が踊りながら「離島殺人事件 速報」

【長編小説】真夏の死角 10もしも澤田がいなければ

「よう、できたか美姫」 「うん。写真の方は私の担当分はばっちり。休み時間にこまめに撮りに…

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【長編小説】真夏の死角 9恋の思い出

「揚げ出し豆腐と蛸わさね。あと熱燗追加」  午前2時、川崎恵理子は横浜馬車道の老舗割烹「…

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