【長編小説】真夏の死角 2幼なじみとの三角関係
篠原美姫の呼吸は荒かった。
上気した頬に、うなじから髪の毛がまとわりつく。汗で濡れた頬に髪の毛が張り付く。しっかりと留めたはずのポニーテルからも激しい体の動きで長い髪がほつれている。
目はしっかりと相手の瞳の奥を覗いていたが、体がいうことを聞かない。このままでは、相手のなすがままだった。いっそ観念したら甘美な敗北の悦楽に自分の体を委ねることができる。
それは分かってはいても、美姫にはそれができなかった。女としてのプライド…。たしかにそれもあるかも知れない。しかし