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【良い小説良い哲学】~「良い小説」と「いい話」を峻別しよう党

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いい話が世の中溢れています。それはとても良いことだと思います。でもいい話と良い小説は違うのです。いい話は勧善懲悪の水戸黄門です。小説とは美を表現するもの。きれいな小説でもない。じ…
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#私の作品紹介

宇治平等院の鳳凰堂(阿弥陀堂)から苦難の現在世界への提言

始めに 私は、数年前の秋頃には、楽曲「AMIDA」の作曲に没頭していました。 その時、私は宇…

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平和という言葉が、ここにあるということ。

平和とは。 平和とはからはじまる思いを述べよとゼミの 課題が出ていた。 栞は、マグカップ…

【短編】 あかいくすり

 みんな出かけてしまって誰もいないリビングに入った僕は、いつものようにローテーブルの上に…

ふくりと
1年前
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銀河はラズベリーの香りがする。

銀河売りがこんなに流行する前。 宇宙飛行士として地球をみてきた ひとりの学者と栞はつきあっ…

心の中の言葉をどうして、言いたくなるんだろう。

谷川俊太郎さんの新聞の連載「どこからか言葉が」の 「わざわざ書く」というタイトルの詩だ。 …

迷ったら、観覧車に乗って。

あらすじ  水を張ったボウルの中でブリのえらをゆすぐ爽の長い指が、時々もてあましてるよう…

救われましたなどと2度と言わない。

街クジラがこの街にやってきたのは 栞が生まれる前だったらしい。 街クジラはひとりぼっちである日 発見された。 栞の住む町はGoogleにも把握されて いないような街だけど。 かつてその砂浜に打ち上げられた。 街クジラが砂浜にうちあげられたとき そのとき恋人だったひとたちはみんな 夜中に砂浜に駆けつけたらしい。 今は誰も訪れなくなった坂の上の街の写真館の ショーケースにミイラみたいになって 飾られている。 そしておんなじ日にとある街では ビルとビルの間に人がはさまっ

【短編】えらばれる

 どんよりと厚い雲の下、ねっとりとまとわりつくこの時期独特の水分と生臭さをたっぷりと含ん…

ふくりと
1年前
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もういちど、わたしをやり直せる場所へ。

もうどこにも帰りたくない夜ってある。 今は夜何処かに遊びに行くことも ほとんどないけれど…

夏も涙もそっとおやすみ。

海砂糖を栞はからだの中に飼っている。 いつ頃からなのかわからないけれど。 あれはあの時か…

猫に負けてしまう雨の夜。

恋は猫。 猫は恋。 好きな人が暮らしてほしくないワーストワンは 猫だ。 母親や妹はぜんぜ…

あたらしい父に会っている気がする。

父と1年ぶりに会った。 父が趣味ではじめたことに お祝いすることがあったので 上京してき…

永遠のにぶんのいち、あげる。

栞はその時、読んでいた本の言葉を 思い出していた。 「ひとが、存在していることの根っこに…

哀しい氷がとけてゆくように。

凍った星をグラスに浮かべた。 すっごく不安定な形の細すぎる脚を 持った建築物が入り江に建っている。 砂浜には、扉を閉める時に確かなかちっと 振動が指先にまで伝わってくるような重厚な 造りにみえる赤いポストがあって。 その砂浜につづく桟橋を通ると、玄関へと 辿りつく。 すべてがあやふやな空気に包まれている そんな建物の家に住むようになったのは 最近のことだった。 海の上に紙でできた建造物が建っている ようなアンバランスなこの家は、栞が住む 前にむかし女の人が暮らしてい