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性が、セックスが変わる ー 米国D2Cブランド5選

この記事は、MIKO運営メンバーの小迫敏珂のnoteにて掲載した記事を加筆・修正したものです


「フェムテック」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。文字通り女性(Female)の健康問題を、テクノロジー(Technology)で解決する製品のことを指し、2025年までに5兆円規模の市場となると見込まれています。ただ性固有の健康問題という意味では、女性も男性も、ノンバイナリーだって色々抱えているはずで、今欧米では「セクシャルウェルネス」というワードがより頻繁に使われています

フェムテック推進に関する男性議員についての記事。女性の健康問題は男性の健康問題でもあるし、逆も然りなはず。

ところで私自身もセックスに関する悩みがあり、セックスカウンセラーにかかったり、女性風俗に行ってみたりとトライ&エラーしてきました。そのなかでもここ二年ほどはD2Cプロダクトをいくつか試し、悩みの解消に大いに役立ったものもあったので、ぜひ多くの人に共有したい、知ってほしい!なんて思っていたのです。そこで今回は、きっとみんな気になってはいる、だけどオープンには話さない。そんなセクシャルウェルネスのトレンドについて、米国ブランドを軸にご紹介します。女性ターゲットのものが多いのですが、悪しからず。

月経・避妊系

1. Thinx(シンクス)

国内外とも本当にたくさんある「吸水ショーツ」ブランド。NY発のThinxは2012年に吸水ショーツのアイデアにいち早く取組み、開発・販売した先駆け的存在です。

ティーン向けプラットフォームの運営をはじめ、人種や体型、ジェンダーなどの多様性に関するアクティビズムが、多くの人から支持されているThinx。印象的なのはブランドのミッションやチャレンジが、シビック・アクション(消費者に限らず、いち市民として権利を主張する運動)へ発展しているという点です具体的には2015年の広告掲載事件*がSNS上のムーブメントになるなど、社会課題に対してフロンティアに立っています。

*2015年には、ガイドラインを隅々まで読んで制作したはずの上記の広告が、MTA(ニューヨークと市交通局)の審査に通らないといった出来事がありました。創始者であるMiki Agrawalは「すでに地下鉄内で掲載されているような豊胸手術の広告はOKで、生理用品はNG。女性にとって有害なのはどちらかを判断できないのであれば、プレスにこの出来事を報告する」と判断の説明を求めます。「勝手にしろ」と返されたことで、彼女は本当にプレスへ連絡し、記事として取り上げられたことでSNS上で世界中が反応。結果人々のバッシングを受けたMTAは、広告掲載を許可します(下記画像は当時の広告の一部)。もっと知りたい方はこちらのビデオへ。

ちなみに私はThinxやNagiも持っていますが、HUGyouという日本のブランドがお気に入り。まだ大きくブランディングなどはされていないですが、アスリートにも使えるくらいに「動ける設計」がされた製品は、漏れないし、替えのパッドなども付属していて、機能性がダントツで高いなと思っています。 *個人の感想です

2. Wisp(ウィスプ)

パンデミック以降、アメリカでは直接クリニックへ行かなくても処方してもらえる遠隔医療(テレヘルス)分野が発達し、最近では米国薬事法(FDA)が中絶ピルの郵送処方を認めるなどのニュースもありました。Wispはコンサルテーションからピルの処方までオンラインで完結できるサービスで、低用量ピル(バースコントロール・ピル)やモーニングアフターピルを提供していますNURXなど類似サービスも多く出ていますが、保険を持たない場合でも十数ドルから購入できる価格帯が実現されていて、低用量ピルを服用している私も、もちろんWispサービスのユーザーです。

病院・クリニックといえどプライベートな問題を話すのははばかられるもの。日本での実現だとまだ法の壁がありそうですが、オンラインで完結できると心理的に救われる人も多いのではないでしょうか。

またピルを始めIUDなど避妊の手段は昔と比較して増えているものの、性病感染を防ぐ目的としても、コンドームの使用率が増えています。最近のD2Cプロダクトだとこのようなポーションタイプのコーヒーミルクみたいなパッケージが多くなってきている印象。

上記参照画像はNY拠点のMaude(マード)というブランドから拝借。ライフスタイルを通してスタイリッシュに商品を見せていてとっても勉強になるし、なんと大衆向けの美容セレクトショップSEPHORAにも卸しています。

プレジャー・トレーニング系

3. Dame(デイム)

さて、バイブレーターです!バイブレーターと聞くと、けばけばしい色味やギョッとするような形の物が思い浮かぶ人もいるかも知れません。コロンビア大学で臨床心理学を学んだAlexandraとMITで機械工学を学んだJanetのふたりは、視覚的にも触覚的にも心地よいバイブレーターを作るため、ユーザー調査と研究をもとに、女性が部屋にも置ける・手に取りやすいアイテムを目指し、開発されたのはご覧のとおりかわいく、小さく、柔らかくフィットするバイブレーターたち。ポーチにも入るサイズで、リップスティックのような形のものも出ています。もっと手軽で、楽しく、日常的に。そんなメッセージが単純にプロダクトビジュアルから感じ取れるDame、私もFinというモデルを持っています。

Thinxと同様、DameもMTA広告において歴史的とも言える勝利を収めていて、ちょうど今でもニューヨークではDameの広告にジャックされた車両を見ることができます。

Get In Touchという新しいタグラインと婉曲的なイラストが目を引きます。Maudと同じく、DameもSephoraにて買えるようになりました。


4. OHNUT(オーナット)

性交痛は経験をしたことがある人はたくさんいるはず。ファウンダーのEmily Sauerもその一人で、産婦人科に行っても解決策は見つからず、悩んでいるのは自分だけだと抱え込んでいたそう。


OHNUTはドーナッツを模していて、女性器にとっては緩衝材として、男性器にも刺激を与えるリングです。リングの数は調整でき、また伸縮性もある素材を採用。シンプルだけど画期的なアイデア!

5. Lioness (ライオネス)

「イったことがない」人は勇気を出してオーガズムを訓練してみるのはどうでしょう。Lionessは、オーガズムを可視化するスマート・バイブレーターであり、連動アプリでデータが見れるトレーニングデバイスです。

Co-founder/CTOのAnna Lee。Forbesの30Under30にも選出されています。

実際に展示会で触ったことがあるのですが、連動させる専用アプリもシンプルで使いやすいつくり。私はトレーニング系では英国ブランドのelvie を持っていて、こちらもケーゲル運動用のアプリ連動型なのですが、オーガズムのトレーニングは試したことがないので、ぜひ、次に試したいアイテムのひとつです。

ハードルを越えて、声を上げやすい社会に

さて、ここまで米国ブランドに限っていくつか紹介をしましたが、日本国内でも取り扱いがあるので、気になる方は右記のショップぜひチェックしてみてください:fermataランドリーボックス

自分の身体に自信を持つ、心地さを感じるということは、とっても難しいことだと思います。ことさら性に関しては「恥ずかしい」「いやらしい」という罪に似た感覚も付き纏ってくる場合があるので、私自身もいろんなものを試す以前に、「今より良くしよう」と課題を認識すること自体にハードルがありました。

だけど今回ご紹介したようなブランドの広がりを見ると、性・セックスをより楽しく、よりフレンドリーにするためのプロダクトやサービスが、声を上げやすい社会を作っていくのだな、と感じずにはいられません。

セクシャルウェルネスの発展はまだまだ途上で、民間・行政レベルの協力なども不可欠です。でもスピードを持った広がりがアメリカでは起こっていて、生理やセックス以外の分野、妊孕力・ ホルモンケア系のセクシャルウェルネス(男性・ノンバイナリー向けのサービスもたくさん)なども勢いを見せていますので、またの回に紹介したいです。

それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください!


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