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日本人VSトコジラミ~仁義なき闘いの歴史~

ようこそ民俗学研究室へ、主任研究員の天道巳弧です

最近なにかと話題になっているトコジラミ
弟からリクエストをもらったので動画にしてみた

正直調べているだけでもゾワゾワと鳥肌が止まらなくなったので
皆も動画を見てぜひこの気分を味わってね☆

↓動画で観たい方はこちら

◆トコジラミ

トコジラミとは吸血性の寄生昆虫であり、
南京虫(なんきんむし)、床虫(とこむし)とも呼ばれる

体長5ミリ~8ミリほどの大きさで茶褐色である

全体的に丸くて平たい体をしており羽根はないので飛ぶことはできない
そのくせに歩くスピードはとても速い

オスもメスも成虫も幼虫も吸血するが
吸血しなくても数カ月は生きる
存在自体が害悪

卵は半透明で楕円形
見つけたらすぐに業者を呼ぼう!

しがみつく握力や脚力はさほど強くないが、
身体を隙間に押し込んで自ら挟まるため
知らずに家に持ち帰ってしまうようだ

ちなみに靴紐をつたって靴の中に入り込むこともある
どうやって防げと

トコジラミの生命力は強く、
16℃以上36℃未満の家であれば
ひっそりとそのまま生き続けることができてしまう

おもな活動時間は深夜の2時~3時と
深夜帯に活動することを好む
ただし活動時間であっても部屋の明かりが点いていると警戒し出てこないため
見つけ出すのは難しいようだ

トコジラミが持ち込まれた当時の日本では、
海外由来の珍しいものに南京の名前をつけて呼んでいた

そのことから突如として大量発生した見慣れぬ虫を
「南京虫」と呼び忌み嫌っていたのだ

現代になると南京虫の名前の由来が本来の、
「海外からやってきた珍しい虫」ではなく
「中国の南京市から持ち込まれた虫」と誤解されることが多くなり、
呼び方が現在の標準和名である「トコジラミ」に変更された

各地の方言では「あーぬん」(沖縄県石垣島)、
「あやぬん」(沖縄県小浜島)、
「ひーらー」、「っちゅくぇびーら(人食いひら)」(首里方言)、
「あかめ」(東京都八丈島)などがある
日本語なのに発音が分からない…

◆歴史

歴史に登場したのは紀元前400年頃の古代ギリシャ

近縁種を含むなら、アメリカ合衆国オレゴン州の洞窟で見つかった
5100年から1万1000年前の化石が世界最古と言われている

エジプトで発見された化石によると、
トコジラミが少なくとも3500年前から人間の寄生虫として知られていたようだ

トコジラミはもともと日本には生息していなかった

しかし西暦1861~1864年に江戸幕府がオランダから購入した船に潜んでいた個体が
荷物と一緒に日本国内に持ち込まれて拡散、
宿場町を中心に定着したものと考えられている
なんということでしょう

明治期に日本を訪れた旅行家、イザベラ・バードは『日本奥地紀行』にて
宿泊先の宿で南京虫による被害に遭ったと記述している

第二次世界大戦が終戦し衛生環境が向上しても、
不衛生な地域や古い木造の建物、
特に人の出入りの多いビジネスホテルや警察署の留置場などでは
ごく普通に生息していた

文豪の谷崎潤一郎は『細雪』にて
ホテルの宿泊時、南京虫の被害に遭ったことを描写している

江戸川乱歩は『わが青春記』の中で、
住み込みで働いた印刷工場の寮で南京虫に悩まされたと書いていた

◆日本の対処法

殺虫剤が普及する以前の一般の民家では、
囲炉裏で火箸の先端を焼いて畳の縁に挿し込んでトコジラミを焼き殺したり、
煙で住居を燻したりと
“生活の知恵”によりトコジラミを効率的に駆除していた
こういうところ昔の人はすごい

戦後は有機塩素系や有機リン系の強力な殺虫剤が導入されたこともあり、
トコジラミは1970年代には日本国内からほぼ根絶された

◆こうしてトコジラミに打ち勝ちつつあったが、あの日、人類は思い出した
トコジラミに咬まれたときのかゆみを――

イラン・イラク戦争帰りの米兵がアメリカ本土にトコジラミを持ち帰ってしまったのだ

トコジラミはアメリカで殺虫剤への抵抗を身につけ、
アメリカ全土に広がりそのまま海外へ拡散した

これにより日本では2004年以降、
円安によって増えた外国人観光客に人気の温泉旅館など
東北地方の宿泊施設を中心に
ポツポツとトコジラミが現れた

翌年にはその被害は倍以上に増え、
さらに翌年には中部地方・山陰地方・四国地方と被害地域が拡大

2007年には都市部のビジネスホテルからも発生し、
2010年にはとうとう一般の住宅にもトコジラミが姿を現すようになった

◆予防法

旅行先、宿泊先での予防法は、荷物は床に直接置かずビニール袋に入れる

さらにトコジラミはパラジクロロベンゼンの臭いを嫌うので、
旅行カバンの中には防虫剤を入れると良いと言われている

旅行から帰った後は、ポケットの中や折り返し、縫い合わせまで
丁寧に目で確認しよう

目で発見できる自信が無い場合は掃除機で細かく吸ってしまおう
業者によると紙パック式の掃除機がオススメだそうだ

帰宅後すぐに洗濯する場合、短時間モードではトコジラミが生き残る可能性がある
確実に殺虫するために次の合成界面活性剤を含んだ洗濯用洗剤を使おう

一時停止推奨
アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム(MES,α-SF)
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)
アルキル硫酸エステルナトリウム(AS,ラウリル硫酸ナトリウム)
アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES,ラウレス硫酸塩)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE,POE・R)
ヒドロキシアルカンスルホン酸ナトリウム

◆駆除法

もし住居に現れた場合は、カーペットや絨毯の裏、畳の隙間やコンセントの隙間、
壁の隙間、ベッドの裏、家具などの引き出しの裏、
カーテンの折り目、衣類の縫い目、
読まないで長期間放置している見開き雑誌などに隠れていることが多いので、
そこを重点的に点検する

卵や成虫は加熱によって殺虫が可能だ
衣類スチーマー等で寝具やベッド周囲に
80-100℃の高温スチームを念入りに当てることにより、
寝具に潜むトコジラミの駆除ができる場合もある

そしてトコジラミが最も活発に徘徊する深夜の2~3時に
紙パック式の掃除機をかける
紙パック自体がハウスダストを捕れる高性能なフィルターになっているタイプが理想的だ

このとき部屋の照明を点けると
あっという間に隙間の奥へと逃げ込んでしまう
暗い中で掃除機をかけるのがオススメだ

ただし掃除機での駆除は時間と根気が必要なため
業者を呼ぶのが一番いいと思うよ

◆小話

最近では薬剤抵抗性をもった種類が2022年以降に韓国などで大発生
それが旅行客や通販のダンボール箱に紛れ込み日本国内に持ち込まれているようだ

どことは言わないけど某国の通販サイトから送られてくるダンボールが危険だとか
海外から通販するときは気を付けたほうがいいかもしれない

というわけでいかがでしたでしょうか

近年被害が増えているトコジラミでした

殺虫剤が普及する前のトコジラミとの付き合い方は
その時代のその生活ならではの方法で感心した

民俗学の対象になりそうだと思ったので
今回紹介したよ

「昔はこんな風に対処してたよ」と情報をお持ちの方
コメントお待ちしております

情報を持ってない方はトコジラミの被害や不安や恐怖を書いてもろて

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また次回の動画でお会いしましょー!


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