夢と魔法の場所の意味
先日、ディズニーランドホテルに宿泊をしてきたのだが、その時に心に残る体験をしたので、ここに残しておきたい。
ちなみに前置きとして、ディズニーリゾート大好き人間ではあるが、それほど何度も行っているわけではないし、ディズニーランドホテルに関しては10年前に一度宿泊した以来の利用だった。
宿泊の前日にとても辛い出来事があった。どのくらい辛かったかというと、寒い中上着も羽織らずに素足にサンダルで、近所にある祖父母の墓まで泣きながら歩き、その墓の前でしばらく泣き伏せたくらいだ。(幸い夜遅かったので誰ともすれ違わなかったが周りから見たら相当危ない奴だっただろう)
そんな感じで夜を越えたので、宿泊当日の朝はとんでもなく心が淀んでいた。しかも、仕事に行かなくてはならなかった。
私の仕事はシフト制で、早番・中番・遅番とあるのだが、その日はよりによって早番だった。泣き腫らした瞼が治る前に出勤だ。
辛い気持ちを引きずりながら仕事をし、休憩時間に一人になった隙を狙って懲りずにまた泣いた。とにかく気持ちを流すのは泣くのが一番だと思っている。無闇に人前で泣くのは嫌だが。どちらかというと涙は堪えるのが苦手な方だ。
長かった就業時間を終え、意地で定時で上がり、そのまま舞浜駅へ直行した。
舞浜駅で、一緒に泊まる母と落ち合い、ディズニーランドホテルへ向かった。
何度行ってもそこはキラキラしていて、いるだけで心が躍る。泊まらなくてもやたら足を運びたくなる場所だ。でも、その日の私の心は一向に踊らず、正座をしたままだった。にも関わらず、母に悟られないよう、ずっと笑顔で、心持ちテンション高めに見えるよう振舞っていた。
つまり、少し、無理をしていた。
チェックインをしようとフロントに向かうと、笑顔の素敵な女性キャストが応対してくれた。チェックインの業務をこなしながら、今回はどうやって来たんですか?今日はパークに行ってきたんですか?など、雑談も交えてくれる。
なんだかそんな話をしているだけで、無理をしている心が溢れそうになってじんわり熱いものが込み上げてきた。それくらい笑顔が素敵だった。私も接客業をしているが、今日こんな笑顔できてたかなと自己嫌悪してしまうほど。
私がディズニーランドのチケットをもらったので、せっかくだから近くに泊まろうということになって、もっとせっかくだからディズニーランドホテルの好きなキャラクタールームに泊まろうということになったのが、この日のきっかけだった。
そんなことも伝えながら話していると、案内の終盤に彼女が「私実はミッキーから手紙を預かっていまして」と切り出して、封筒を取り出した。え、なに?と思う間もなく、すぐに涙が込み上げてきた。何かサプライズなんだろうと直感的に思ったのだった。おそらく、突然目を潤ませた私に彼女も驚いたと思う。でもそのままの笑顔で、ミッキーからの手紙だけではなく、彼女自身が書いたメッセージカードもくれたのだった。「素敵な1日を」
ミッキーからの手紙というのは、実は母が事前に頼んでいた内容だったのだが、開いた瞬間に飛び込んできた文字に私は号泣した。「これからもたくさん素敵なことがありますように」
素敵なことなんてもう起きないと思っていた心に、その一文が刺さって、悲しみを解放したのだった。
きっとホテル側からすれば、このサービスはさほど特別なものではないのかもしれない。でも、たった一枚のカードで、たった一文で、私は救われた。
それはまあ帰りたくないと本気で思うほど楽しく宿泊し、パークも楽しんだのだったが、日常に戻ってきた今も、ギリギリな自分を救ってくれたあの瞬間を思っては胸が熱くなる。
本当に、素敵な時間をありがとう。
ああ、次はディズニーシーに行きたい。