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閉鎖社会を垣間見て

私は3年前に東京から地方都市に移住してきました。
移住した地域は、大きな企業が約30年前に工場を建てたり、バブルの頃に別荘地として開発された宅地が退職者向けの移住地として広まったことから、地元の住民以外の人口が多い地域です。
普段、移住者とも地元の人とも関わりがありますが、価値観のギャップを感じることはありませんでした。
でも、今日、衝撃の経験をしてしまいました。


いつも利用している隣の市の運動施設。
その市は、農業が主産業で人口が減少しています。
そこで市は、人口増加を目指すのではなく、関係人口を増やそう、と住民以外でも登録すれば公共施設を市民と同じように使える制度を設けています。
今日は雨だったので、体育館を借りてバトミントンをしました。



私たちが準備をしていると、80代前後であろう高齢の男性が体育館に入ってきました。
「おはようございます」
挨拶をしても返事はありません。
私たちが話をしていると、いつの間にか別の男性が来て、後ろで仁王立ちしていました。
挨拶をしても、返事はありません。
そのうち、20人ほどの高齢者が集まってきて、卓球の準備を始めました。
皆、遠巻きに私たちを見ています。
見ているというより、にらんでいます。
卓球を始めると、時々ボールがこちらに転がってきます。
無言でボールを取りにきること数回。
3時間その状態が続きました。
結局、同じ場所を使いながら、一言も言葉を交わすことはありませんでした。


普段、その体育館やテニスコートで、子供から60代くらいまでの市民の方と会うことがあります。
どの人とも笑顔で挨拶を交わし、公共の施設をお互い気持ちよく使おうという意識が共有できていました。


今日のような無言の圧力を感じたのは初めてでした。
なぜ、あのような態度をとるのでしょう。
「自分たちの仲間以外はよそ者、よそ者には入ってこられたくない」という意識なのでしょうか。


あのような閉鎖的なコミュニティーは、住みにくさを自ら作っているようなものだと思いました。
スポーツは仲間がいなければいずれできなくなります。
よそ者だろうが仲間を増やして仲良く楽しもう、という意識がなければ、いずれあのコミュニティーは立ち行かなくなるでしょう。


その市は、施設の予約をオンラインでできるようにする計画を立てているそうです。
でも、高齢者からの反対があって進められない、と職員の方が話されていました。
紙と電話で行う業務にかける人件費と時間は想像できず、反対することにだけに声をあげる高齢住民がいるのでしょうね。


あの人たちは、ずっとあのような考え方の環境で暮らしてきたのでしょうか。
いろいろな考え方や環境を学ぶ機会はいくらでもあったはずです。
昔のやり方を理由なくよしとしたり、変化を嫌う考え方は、思考停止でしかないと思います。



私は日頃は人のよい面を見よう、見たいと思っていますが、さすがに彼らからその要因は何も見つけられませんでした。
いい反面教師として、これからに生かしていきたいです。
次に続く世代にあの考え方が伝染していないのが幸いだと思いました。










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