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SaaS比較サイトNo.1「BOXIL SaaS」を運営 スマートキャンプ社が札幌に精鋭部隊を置く理由

この記事は、2022年7月6日に北海道のIT情報発見!発掘!マガジンのmikketa!!に掲載されたものです。

今夏からMikketaでライターを務めるヤマモトテツと申します。政治経済からグルメまで10数年の取材経験がありますが、本格的にIT業界をのぞかせていただくのは初めてです。今回はSaaS比較サイトNo.1「BOXIL SaaS」を運営するスマートキャンプの北海道支社(札幌市中央区)にお邪魔し、お話をうかがいました。

アウトドア店と間違える?社名は「スマートキャンプ」

ーーいきなり素人目線の質問ですみません。スマートキャンプという社名、アウトドア店と勘違いされることはありませんか?

上田恭兵さん(BALES カンパニー BPO事業本部 執行役員) あります(笑)。飲食店フロアに隣接する他地域のオフィスでは、アウトドア用品店と勘違いされたお客様が実際に立ち寄られたりしますが、私たちの会社を知っていただく良い「つかみ」になっていると感じます。

ーー社名からは想像もつかないお仕事内容です。詳しく聞かせていただけますか?

上田さん はい。私たちスマートキャンプは「for SaaS」をスローガンに掲げ、SaaS企業のマーケティング・セールス・購買まで一気通貫で支援するソリューションを提供しています。

ーーSaaS企業のビジネスを広げるお仕事なのですね。御社が運営する「BOXIL SaaS(ボクシル サース)」は私も利用したことがございます。

上田さん 「BOXIL SaaS(ボクシル サース)」は、SaaSの提供元企業とSaaS導入を検討している企業のビジネスマッチングプラットフォームです。集客力が高く、効率のよいマーケティングソリューションとなっています。例えばですが、コミュニケーションツールや企業向け経費精算ソフト、業務管理ツールなどのサービスを掲載させていただいております。

ーーSaaS導入に際しての比較検討に役立ちそうですね。

岩井祐介さん(BALES東日本統括 副本部長 兼 北海道IS部部長) SaaSの世界は、さまざまな業種業態のサービスがすごいスピードで生まれています。企業様にとっては、自社にふさわしいSaaSを選ぶのが本当に難しくもあり、そこをご支援するのが私たちスマートキャンプです。

BOXIL SaaSのトップページ。商品名やカテゴリでSaaSが検索できる

上田さん 「BOXIL SaaS」のサービス掲載実績は累計で800社以上にもなり、「SaaS導入推進者が選ぶサイトの第1位」(※)となっております。このほかSaaSを中心とした様々なサービスとの最適な出会いを実現するオンライン展示会「BOXIL EXPO」も多くの企業様にご参加いただいております。

(※2020年9月実施 株式会社ショッパーズアイ「SaaS比較メディアに関するイメージ調査」より)

なぜ北海道に拠点?札幌が持つインサイドセールスの可能性

ーー北海道支社は、スマートキャンプ初の地方拠点として2019年に設立されました。どんなお仕事をされていますか?

上田さん 先ほどSaaS比較サイトやオンライン展示会といった取り組みを説明しましたが、北海道支社では営業代行サービス「BALES」を展開しています。

上田さん SaaSの開発元企業の多くは東京にあります。私どもは、それらの企業様などから依頼を受けて営業活動を代行しています。用いているのは、電話やメール、ビデオ会議システムを用いて非対面でコミュニケーションする「インサイドセールス」という営業手法です。人の力とテクノロジーの力で総合的にSaaS企業を支援しています。

ーーコロナの時代を先取りする働き方ですね。

上田さん BALESは2017年にフルリモートスタッフたちで事業を始めており、当初から勤務地を問わず働ける仕組みがありました(※現在は週1回出社が基本)。ただ、やはり拠点があって一つの場所でコミュニケーションをとる方が、営業のオペレーション上は円滑に仕事を回していけるだろう、と。いわゆる「オフラインの重要性」ですね。そこで2019年、北海道に拠点をつくりました。

ーーオフラインの重要性。これもコロナの時代を先取りした課題感ですね。

上田さん 例えば、インサイドセールスには職場内での営業ノウハウの共有が必要なのですが、フルリモート下ではそれが難しい。意識せずとも勝手に耳に入る情報というのがないわけです。このほか、組織としてマネジメントする上でも、オフライン環境があった方が良いという結論になりました。

ーー支社をつくるなら東京に近い候補地は他にもありそうです。

上田さん 札幌は優秀な人材の採用ができるという面が大きいかもしれません。北海道大学に代表される国公私立の大学があり、教育レベルが高いエリアですので、将来的に活躍できるIT人材との接点が多いと考えました。加えてコールセンターが非常に多い地域ですので、インサイドセールスのベースとなる非対面でのコミュニケーションスキルを備えた人材が多いと考えました。

ーー現在、北海道支社の社員数はどれぐらいでしょうか?

岩井さん 70〜80人が札幌勤務です。メーンは20代後半から30歳前後ぐらい。インターン生や主婦のかたもいます。このほか福岡や東京の拠点で働くスタッフもいます。

上田さん コロナ時代、テレビ電話などを活用した非対面での企業活動は当たり前になり、インサイドセールスの世界には追い風が吹いています。働き方の選択肢も広がりました。私どもでは、現在では週1日の出社と自宅勤務のハイブリッド制を採用しています。

ーー人材の採用は進んでいますか?

上田さん 特に北海道はコロナの影響で観光や飲食といった接客サービスで顕著に仕事量が減りました。そうした中で、私どもの北海道支社でジョブチェンジ、キャリアチェンジをした方がたくさんいらっしゃいます。社内の教育体制も整えましたので、未経験の入社であったり、法人営業を対面でやっていたり、そういう人材の転向も増えています。まさに今、隣に座っている岩井もキャリアチェンジした一人です。

家電量販店⇒EC⇒SaaS 平成令和のキャリアチェンジ

岩井さん はい。私は室蘭生まれ、札幌育ちの道産子です。家電量販店のスタッフからキャリアをスタートし、EC業界に転じて4年ほど働きました。スマートキャンプには20代後半で入社し、現在3年が過ぎたところです。

ーーEC業界からSaaS業界へ移られたということですね。なぜでしょう。

岩井さん 「テクノロジーの力で社会の非効率をなくす」というスマートキャンプのミッションに共感したからです。仕事を進める上でのさまざまな不便さや不自由さって、誰にでも経験があると思いますし、私も前職時代に感じていました。そうした不便さをSaaSの力で解消する仕事にチャレンジしてみたいと思いました。

ーー未知なるSaaS業界に飛び込んでみて、いかがでしたか?

岩井さん SaaSがこんなにも沢山あるのかと驚きましたし、同時にこうしたサービスを世の中に広げてゆくことが社会のDX推進、効率化支援になると感じました。

ーーSaaSのみならず、インサイドセールスも岩井さんにとっては未知の世界でした。

岩井さん 私自身、以前の会社でコールセンター勤務の経験がありますが、今までのやり方でいうと、テレアポに近い感覚でひたすら電話をかける、というのが主流だったと思います。ですがBALESのインサイドセールスでは、私たちのクライアント様のサービスをどのような企業様が必要としているのか分析し、ターゲットを絞った上で営業活動を行っています。ターゲティングから入ると、思った以上の成果が得られると感じました。

ーー職場の空気感はいかがでしょうか?

岩井さん スタッフ間の情報交換が活発なので、企業様をご支援する上で必要なナレッジを共有しあえる環境になっていると思います。インサイドセールスのトレンドや成果を共有するため、毎週「インプット会」を開いているチームもあります。あと、どのコールセンターと比べても「フラット」だと思います。

ーーフラットな空気というのは、スマートキャンプさん独特の何かがあるのでしょうか?仕組みとか言葉とか。

岩井さん 弊社が定める行動指針に「SOCS」というものがあります。SはSmartThinking、OはOwnership、CはCollaboration、最後のSはSpeedという意味です。SOCSは社訓として毎朝唱えよ、いうものではないですが(笑)、社員にはしっかり浸透しています。私たちの「フラット」さは、SOCSのうちのCollaborationが生み出しているのかもしれません。

スマートキャンプの行動指針「SOCS}(会社説明資料より)

目指すは東京と同じスピード感 UIターンの受け皿に

ーー上田さんにも入社経緯を伺っていいでしょうか?

上田さん はい。私は帯広生まれ、釧路育ちの道産子です。高校卒業後に上京し、テレマーケティング領域で働いてきました。北海道にUターン就職したいと思ったとき、東京と同じスピード感や考え方で仕事ができる会社を探していたらスマートキャンプに出会いました。

ーー北海道内の企業には、UIターン就職の受け皿が少ないとも聞きました。

上田さん 私どもスマートキャンプ北海道支社としての「思い」をお話させてください。北海道は、首都圏などからのUIターン希望者が非常に多いと言われており、幾つかのデータでも傾向がはっきりと見えています。ですが、UIターン希望者にあった働き先や職種がないため、道外に流出する問題がありました。私たちが働く環境や選択肢を増やすことで、少しでもこうしたミスマッチを解決できれば、と思っています。

「テクノロジー情報格差」北海道からなくしたい

ーー北海道ではSaaSの導入企業は広がっているのでしょうか?

上田さん 道内企業へのSaaS導入はコミュニケーションツール、決済ツールなどにとどまっており、まだまだ広がっているとは言い難いです。

ーー私の身の回りでも、導入に踏み切れない会社は多い印象です。

上田さん SaaSを使うことで飛躍的に生産性はあがる、という実例を知ることが大切だと思います。例えば弊社ではインサイドセールス業務の管理、効率化を実現するクラウドサービス(BALES CLOUD)を提供していますが、あるスポーツチームに導入していただいたところ、試合やイベントごとに数時間かかっていたサポーターへのメール送付がわずか数分に削減でき、ミスも減りました。

ーー導入のインパクトは大きいですね。

上田さん 日本の市場は人口が確実に減っており、北海道でも傾向は同じです。これからの時代、企業が新たな事業を伸ばすうえでテクノロジーとの共存は必須です。

ーー同感です。でも、北海道にいるとテクノロジーに関わる情報が耳に入りません。

上田さん 情報の格差は確かにあります。「インサイドセールス」というワード一つにしても、東京と北海道では反応がまったく違います。私たちは、この「知られていない」という所が重要だと思っています。そもそも「インサイドセールス」とはどういうものなのかを、私たち自身の手で北海道で発信してゆかねばと感じていますし、幾つかの取り組みも進めています。

ーーどのようなことでしょう?

上田さん 社員がどんな思いで働いているか地下鉄全駅に広告を出して発信しました。また、札幌の女子サッカーチーム「ノルディーア北海道」(なでしこリーグ2部)の選手を社員に採用し、アスリート支援にも取り組んでいます。その社員は昼はスマートキャンプ、夜はサッカー選手と「2足のわらじ」で頑張っています。

SaaSの世界を道案内 必読の『SaaS業界レポート』

ーー最後に、北海道の企業様にメッセージをお願いいたします。

上田さん 弊社で毎年発行している『SaaS業界レポート』はオススメです。SaaS業界がなぜ注目されるのかだったり、市場観だったり、さまざまな情報を盛り込んでいます。

SaaS業界レポート2020』(スマートキャンプ社より)。市場規模から業界トレンド、カオスマップまで幅広く網羅。

ーー私も毎年拝見しております。カオスマップをみると、これほどSaaSがあるのか、ということにいつも驚きます。SaaS業界の「道案内」になるレポートですし、北海道では手に入らない情報が満載だと思いますので、ぜひ、北海道の企業のみなさまにも読んでいただきたいなと思います。

<編集後記>

どこかで一度は耳にしたことがある「SaaS」や「インサイドセールス」という言葉。スマートキャンプ様にお邪魔して、以前より身近に感じることができました。驚いたのは、東京のような大都会ではなく、札幌に最先端のSaaSビジネスの現場があるということ。ひょっとして北海道にはこんな面白い現場がまだまだあるのでしょうか?ワクワクが広がりました。

<取材、文:ヤマモトテツ>


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