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11歳の息子がニコニコしながら部屋に入ってきた

週5で在宅ワークをしている。自分の部屋で仕事をしてるとき、結構な確率でビデオ会議をしていることもあり、部屋の入口にこういうものが設置されている。妻がつくってくれた。

とはいえ、仕事中はこもって作業しているので、家族が部屋を訪ねてくることはあんまりない。

家族3人のSlackワークスペースがあるので、何かあればそこにmentionを飛ばしてもらうようになっている。晩御飯だよ、とか、歯医者の予約がいつになったぞ、とか。

11歳の息子も、塾がおわったぞ、とかそういうのを知らせてくる。こないだは一つのチャンネルで話題が膨らんだので、息子が新チャンネルをつくってくれて、そちらに誘導されることもあった。手慣れたものだ。


つい先日のこと。11歳は夏休みなので、塾に行ったり、家で遊んでいたりする。2024年の夏は、熱中症アラートが日々、強めに出ているから、「外で遊んできなさい」などと気軽に言えたものではない。なのでけっこう家にいる。

で、僕が部屋で仕事をしているとコンコンとノックがされた。会議中ではなかったので、はーい!と応えると、少しだけ扉がひらいて、ニコニコした息子が入ってきた。

彼の手元にはiPadがあって、YouTubeの画面があり、ヒカキン・第一子誕生の報告配信を見せてきた。

さかのぼること何日か前、いつかの晩御飯のときだったか「ヒカキンが今度なにか重大発表をするみたいだね、なんだろうね」という話を家族でしていたのだった。

結果、お子さんが産まれたというハッピーな報告だったわけだが、僕はそこまで気に留めていないニュースだったんだけど、息子はうれしそうに画面を指さして(見ろ、見ろ)と報告しにきた。おお、よかったよねえ、めでたいねえ、と応じる。

仕事の邪魔にならないように気をつかったのか、とくに何も話すことなくその仕草をして、ニコニコしたまま、くるっと部屋をでていった。そして僕はふたたび仕事にとりかかった。

なんてことない日常の1コマなんだが、今ふりかえってみると、息子にとってのヒカキンさんというのは、2歳か3歳ごろから10年近く、慣れ親しんでいる存在なのだった。

うちはインターネットに関しては夫婦ともに25年選手なので、強火でやらせてもらっており、そして、子どものインターネット利用に関しては、あれこれと気にかけつつも、あれを見るなこれを見るな、と強く制限をかけることはしてこなかった。

家庭によっては、子どもとYouTubeの距離感は苦心されているところだとも思うが、往々にして、物心がついたときからスマホやタブレットが生活の中にあり、

よちよちとテレビに歩いていって画面をさわってCMをスキップ(できないが)しようとしたことのある2010年代キッズにとっては、YouTubeは当たり前の存在であり、トップメディアだ。

さらには、芸能人がラジオでコアなファンと関係性をつくるように、テレビよりもYouTubeのほうがその出演者との距離感が近いものだろうと思う。

だから、ヒカキンさんが何かをつくって食べたり、ゲームで一喜一憂する姿を見続けてきた息子にとっては、このたびのニュースは、あたかも親戚の子どもが産まれたような嬉しさがあるのだろう。

じぶんがSNSで眺めている景色においては、殺伐としたものがすぐそこにあったりするものだが、ふとしたネットニュースの1つを、本当にうれしそうに受け止める息子をみて、なんだかいいなあ、と思ったのだった。

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