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005 | 商業デザインの仕事

福岡で商業デザインを本業としながら、Webマガジン『ミッケ!フクオカ』の編集長でもあるおしけんです。note投稿5回目。今回はSNS関係ではなく、本業のお話。

〝商業デザイン〟って聞き慣れないワードかもしれないですよね。あえて商業ってつけなくてもよさそうな。僕もそう思います。でも、定義としてはふんわり広範囲のものを指すんです。

もちろん全部が全部出来るわけじゃないけど、大枠ではこういう感じの仕事をしてます。なんだかんだでこの業界でもうすぐ20年になる。よくデザインの仕事をしていると話をすると、センスとかアーティスティックとかの方向にいきがちで、もちろんそういう抜きん出た才能や感性を持った人もいる。でも自分は全然そんなことはなくて、むしろ逆。なので、デザインの仕事は誰でも出来るようになる。それなりに努力はしなきゃいけないけど。

専門学校を卒業して就職した福岡のプロダクションで、徹底的に下積みというか、基礎になる部分を叩き込んでもらったおかげで、今でもこの仕事が出来ている。それこそ最初の1年は雑用から来客へのお茶出し、赤字チェック、製本や納品、原稿や校正紙のやり取りで市内をチャリで走り回ったり。あと写真素材探しとか(当時はまだデジタルが普及していなくて、リースポジを本で探していた)。

入社から1年はそんな日々の中で、雑務の隙間を見つけては諸先輩のデザインするものの出力を見て学んだり、描いたサムネールをコピーして練習したり。やることを自分で探してた記憶がある。こういう下積み時代って、だいぶ先に活きてくるんだよなぁ…と、今になって思ったりもする。そこからアシスタントになって、デザイナーになって、職場を変えて…(割愛)…その後40歳で独立。

デザインの話に戻す。よく「どういう風に考えてやってるの?」と聞かれることがあるんだけど、自分のやってることや考え方は『デザインは水のようなもの』というスタンスで仕事をしている。

前述のようにセンスや感性で勝負できない自分は、案件(例えば商品セールス、不動産、旅行、イベント、教育、美容、パッケージ、CIなどなど)で与えられた状況の中で、臨機応変にベストの見せ方を選択をしていくというタイプ。氷だったり液状だったり、時には蒸発したり。透明でも着色でもライトで光らせることも。『これが僕のデザインです!』ではなく、幅広いジャンルとケースに合わせて、安定したパフォーマンスで対応するような感じ。

ずっとそういうスタンスでやってきたことが、独立した今になって、結構どんな仕事の相談事でもそこそこ役に立てるようになってる。狙ってたわけじゃなくて、結果そうなったという。過去に特定のジャンルで、それこそエキスパートのすごいデザイナーはたくさん見てきた。例えば不動産なら不動産、旅行なら旅行といった感じで。でも、そうなれない自分が選んだ今のスタンスで、これからも勝負していくんだろうなぁと思うわけです。

仕事に限らずどんなことでも、憧れや目標を見て〝こういう風になりたい!〟ということもとても大事だけど、〝自分にはこういうやり方が向いている〟に気づくことも大事ですよ、というお話。