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呼吸の泡

たぶんあの頃の私たちは、誰よりもお互いを近くに感じていて。 でも、誰よりもお互いを避けていて。 本当のことなど、なにひとつ話してなかったんだ。 だって、お互いの言葉があまりにも曖昧なことしか伝えないものだなんて、まだ、知らなかったから。 通学路は一本道で、誰もが同じバス。 私たちは大抵自転車で同じ道。 いつから私たちはお互いを知っていたのだろう。 いつから、知っていると言えたのだろう。 気がつけば、知っていた。 それは、別々の道を行ったはずの人で。 それは、意識する

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