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リモートファースト

シリコンバレー でも、WFH(ワークフロームホーム)が始まって今日で2ヶ月以上(会社によってはそれ以上)が経過した。カリフォルニア州では、新たな感染者数も落ち付き始め、復旧に向けた段階的なプロセスが始まっている。そんな中で、Twitter, Square, Facebookなど複数のテック企業がWFHの恒常的な運用について言及し始めた。いろんなことがヴァーチャルでできると、Remote First(以下:リモートファースト)という言葉まで生まれている。

これまでもシリコンバレーのスタートアップが、リモートのエンジニアやデザイナーをシリコンバレー 外で採用するのことは一般的に行われていた。例えば、移民起業家で出身国のエンジニアコミュニティとネットワークがあり、そこからトップクラスのエンジニアをリモート採用できることは競合優位性とも考えられている。そして、これらの企業は創業間も無くリモートで作業することを前提として組織が構築されている。

今回の働き方のリモートファースト化の流れは、これまでオフィスでやっていた仕事をデジタルツールを駆使して自宅でやってみたら従来通りもしくはそれ以上の成果が出たことから始まっていると思います。ただ、長年オフィスで行っていきた仕事を数ヶ月自宅で行うのと、WFHを制度として永続的に導入するのは、全然違う話なのではないかな?と不思議に思っていたのですが、San Francisco Chronicle(サンフランシスコの地方紙)にFacebookのザッカーバーグ氏のブログと同社によるWFHの運用について具体的な話が載っていて、それを読んでなるほどと思いました。

オフィスでの勤務前提の会社がWFHを永続的に運用していくことに関して僕が持っていた疑問は:

社員コミュニティ

現時点の社員間の信頼関係は、コロナウィルス蔓延前にオフィスにて培われたものがほとんどです。カフェテリアや卓球台での社員同士の巡り合わせによる新たなネットワーク、そしてこから生まれる新しいアイデアといった重要な社員コミュニティの維持と発展をどう置き換えるか?

新入社員のトレーニング

新入社員が効率よく仕事をこなし、そして成功するために必要なサポートはヴァーチャルだけで事足りるか?忘れられて孤立してしまわないか?

評価や昇進などの人事制度

WFHの社員もオフィス勤務社員と同じ基準で昇級・昇格できるのか?


これらに対するFacebook考え:

元記事:San Francisco Chronicle 'Facebook’s embrace of remote work could reshape Bay Area economy'

今後時間をかけて課題を解決していくが、直近では以下の社員がWFHの申請を行うことができるとのこと:

・経験のあるエンジニア

・直近のパフォーマンスが高い。

・Facebookのどこかのオフィスから4時間以内のところに住んでいる。

・受け入れ部署がOKしている。(コンテンツレビュー、ハードウェアエンジニア、セールス、パートナーシップなどの職種は現状WFH適用外)

Facebookも永続的な制度化までは時間がかかるようですね。エンジニアのソフトウェア開発、コミュニケーション・コラボレーションツールのクラウド化は何年も前からかなり進んでいて、それらを使いこなして仕事をしている。作業のほとんどがデジタル化されているのでアウトプットも分かりやすい。経験のあるエンジニアであれば安心してWFHで仕事をやってもらえるということで最初のケースとして開始してみるというのは納得できます。

今後適用範囲を拡大していく中で解決しなければならない課題は多々あると思いますが、新型コロナウィルス対応といった数ヶ月の自宅勤務の延長ではなく、新しい仕組みを構築していくという意思が読み取れます。

リモートファーストは、今回のコロナウィルスの危機から学んだ新しい働き方、社員のニーズ、そして今後の人材採用のあり方の点で追いかけていきたいトピックです。