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美術館の新しい開きかた。「作品のない展示室」の個人的記録

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コロナ禍の2020年3月〜9月の記録。「作品のない展示室」で妙に注目されてしまった東京・世田谷美術館の中から見えていたこと。こんなふうに新しく開くこともできる、という発見の日々。
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#演劇

「地域の物語」を、スリリングに語り続ける劇場。【美術館再開日記・番外編2】

1986年にできた世田谷美術館の地域密着度はかなりのものだが、1997年にオープンした近隣の劇場、世田谷パブリックシアターも、長年地道な教育活動を続けている。学校に演劇公演の出前をしたり、劇場で長短さまざまな日程で、いろいろな方を対象にした演劇ワークショップをしたり。 美術館で長くいっしょにワークショップをつくっている柏木陽さん(NPO法人演劇百貨店代表)は、このパブリックシアターでのキャリアも長い。3月はいつも「地域の物語」というワークショップ・シリーズのファシリテーター

見えない「動き」を、探る。【美術館再開日記3】

息が詰まるようだった再開の最初の3日間、だが次の3日間は、来るべき「動き」の気配を感じて過ごしていた。まだかたちは見えない。でも始まっていた。 ふだんなら展示室をたまに回る程度なのだが、ともかくコロナで館内あらゆる場所の人の動きが読めなくなったので、受付とカフェも日々の定点観測の場所になっていく。 特にカフェ。公園から直接ふらりと立ち寄れるので、たぶんこの美術館で最も多様な地元民が集まる場所だ。犬の散歩に来たり、走りに来たついでに寄る人たち、ママ友仲間でテラスを使う人たち