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ホテルマンが選ぶ、絶対に泊まりたい自然の中のスモールホテル10選

ホテルで働き、さらには宿泊することも好きだと、日々新たなホテルを知ります。そんなホテルマンの私が今回は「まだ泊まったことはないけど、この先絶対に宿泊したい自然の中のスモールホテル」を10軒選びました。

大規模なホテルもダイナミックで魅力がありますが、個人的には小さいけど個性的なホテルが好みです。今回選んだホテルはいずれも唯一無二な宿泊体験を得られる(であろう)ところ。Googleマップに場所をまとめましたので、ぜひ次の旅行のお供にしてやってください。(今回はこっそりお伝えしたかったので本文は200円と有料にさせていただきました…!)


1. yl&Co.Hotel in Mt.Fuji / 山梨県

標高1000mの場所にあり、敷地面積3,141㎡という広さに一棟というなんとも贅沢な空間。(3,141平米ってどれくらいの広さやねん?と思った方!1896畳です)宿泊は1Fのみ、2Fのみ、1棟まるまると3種類から選ぶことができます。元は撮影スタジオだったようで、スタジオ時代に使っていたものも残しながら、ホテルへと生まれ変わりました。

1棟貸だと14名まで同時に泊まれることができるので、家族連れで友人と宿泊するのもおすすめです。森の中で映画鑑賞したり、ワインセラーまで完備してあるので大人のグループ旅行ができそうです。Webサイトを見ていただくと一瞬で惹かれるはず。


2. HOTEL HOLIDAY HOME / 京都府

京都は丹後半島にあるHOTEL HOLIDAY HOMEは自生する樹木と融合するように設計されたホテル。雑木林の中に宿泊棟や、レストラン、ショップが点在する複合施設です。施設内の展望デッキから久見浜湾が見えたり、雑木林で感じる木漏れ日など自然を楽しむことができます。

こんな場所でお気に入りの小説を持って行ってゆっくり読んで、ホテル名の通り自分だけのHOLIDAY HOMEにしたいところ。


3. art biotop / 栃木県

"自然と共存する未来のリゾート"がコンセプトのart biotopは長期滞在のレジデンスや「水庭」と呼ばれる160コの水たまりがある庭園があります。そこにSuite Villaが10月にOPEN予定。全ての客室内には、厳選された現代工芸や本を紹介する小さな展示空間「燦架(さんか)」が設置され、自然も人間が創作した作品も併せてartを体験できる施設に。

設計が坂茂氏、水庭を手がけたのが石上純也氏、アートディレクションは原研哉氏と錚々たるメンバーで作り上げられた空間や、

Silence alone is worthy to be heard.
聴くに値するのは沈黙だけです。

というWebサイトにあるコピーが体験の質の全てを物語っていそう。


4. NIPPONIA小菅 源流の村 / 山梨県 

弊社のサービスでCHILLNNという自社予約システムがあるのですが、その一部機能を使って「未来に泊まれる宿泊券」という宿泊券を販売させていただいています。全国様々な施設の方にも利用していただいているのですが、その時に出会ったのが「NIPPONIA小菅 源流の村」です。

"700人の村が一つのホテルに"というコンセプトでWebサイトには村人の方も紹介されています。「大家」と呼ばれる村の名家の一室と「崖の家」という崖に面したヴィラを選ぶことができます。村を散策したり、その土地で取れた食材を使った料理など「大家」はまさに映画サマーウォーズの世界観。(ニュータウン育ちからすると都市伝説のような空間…)リノベーションの仕方も和とヴィンテージ、モダンのバランスが絶妙です!


5. べにや無何有 / 石川県

「べにや無何有…」なんて読んで、どういう意味なんだろう?と思いましたがWebサイトに記載していました。

荘子に「虚室生白」という言葉があります。部屋はからっぽなほど光が満ちる。何もないところにこそ自由な、とらわれない心がある。「無何有」はそんな荘子のとくに好んだ言葉で、何もないこと、無為であること。「無何有の郷」という風に使います。そこでは普段の価値観がひっくり返される。何の役にも立たないと思われるものほど、豊かな存在なのだというわけです。たとえば路傍に巨木がある。曲がりくねって材木としては役に立たない。ところがその故にこそ大きく育ち、道行く旅人に日陰を与えてくれる。まるでぽっかりあいたスケジュール表の余白のような時間。からっぽだからこそ自由に満たされた時間。一見役立たずな巨木の木陰のやすらぎ。そんな想いが「無何有」という名にこめられています。

建築家 竹山聖

「むかゆう」と読むみたいですね。そして、この言葉の意味や竹山氏の説明を読んで上の写真を見ると気づくことがあります。この建物は緑や周囲の自然をただ感じる豊かな時間を過ごすために建てられたのだな〜と。

多くを語らずともこの動画を見るだけで魅力が伝わると思います。


6. TOBEオーベルジュリゾート / 愛媛県

CASA BRUTAS 2018年の「ライフスタイルホテル」特集で知ったオーベルジュ。代表の越智仁文氏がたまたまイベントで訪れ、「ここで、おいしいものが食べられたら、ええやろなぁ」と気に入ったことから構想20年、地権者25人を説得して誕生したというエピソードがすごい。

設計と施工、食材から食器、家具、オブジェ、スタッフ(!)まで愛媛産という徹底ぶり。絶品の料理を食べてから満腹になったらすぐさま全室レイクビューの客室でベッドにバタンキューできる休日まだですか・・・?


7. Private Villa Nook / 兵庫県

最近、Twitterでもバズっていたのでご存知の方も多いかもしれません。予約が取られないことで有名な兵庫県は淡路島にあるPrivate Villa Nook。予約カレンダーを見ていただくとわかるのですが、予約を受け付けている2021年3月31日まで全室満室です。貸し別荘とはいえ、この予約の入り方は同じ業界にいる身としても驚き…

予約もいつでもできるわけではないので、かなり”絞った”運営方法ですが、それでもここだけでしか見られない景色や体験を求めて全国から訪れるのでしょうね。海に映るサンセットから星空、朝焼けなど全てをこの目で見てみたいです。


8. SAYS FARM / 富山県

富山県で人気のワイナリーが2014年に宿泊施設をオープン。栽培から醸造まで一貫して自社で行い、敷地内にはブドウ畑はもちろん、レストランもあります。地元食材を使ったモダンフレンチを食べたあとはお部屋でワインを…いや、私はお酒が飲めないのでそれは夢のまた夢なのですが、美味しいブドウジュースもあるでしょう。きっとそうでしょう。

宿泊は1日1組限定でBBQも気軽にできるとのことなので家族で北陸に行く際などにご利用はいかがでしょう?ウェディングもやっているで結婚記念日に毎年ここに訪れてはその年のワインを集めるのも素敵ですね〜〜


9. 五足のくつ / 熊本県 

日本でも九州でもない、アジアの中の天草

というコンセプトの通り、一般的な温泉旅館とは雰囲気が大きく違います。1566年にキリスト教が伝来された天草という場所は西洋のさまざまな文化も同時に伝わりました。この土地だからこそ表現できた世界観と言えます。

全室露天風呂付で全室離れの五足のくつでは2泊以上をおすすめされています。さらには、1泊目と2泊目でお部屋を変えることまで推薦。お部屋によって全く雰囲気が異なり、ヴィラAB棟とC棟ではお料理の内容も異なるとのこと。モダンな旅館は数あれど、エキゾチックな旅館はあまり知りません…こ、これは気になる…


10. 瀬戸内リトリート青凪 / 愛媛県

最後は言わずと知れた安藤忠雄氏が設計・建築をした瀬戸内リトリート青凪。建物の魅力は中国のメディア一条の動画がわかりやすくまとまっています。

もともとはプライベートなゲストハウス兼、美術館だったようで安藤忠雄氏の書籍にも登場していなかったみたいです。そんな空間をホテルへと誰でも利用できるようになったのはありがたい…そして建物以上に魅力なのはそこで働く方達です。

総支配人の吉成さんを始め、積極的にTwitterやInstagramなどで情報を発信しゲストから支持を受けています。スタッフ一人一人に「シークレット宿泊プラン」があり、その方の切り取った瀬戸内リトリート青凪を体験できるのも宿泊するのが楽しみな点です。

おわりに

以上、10施設を紹介させていただきました。ホテルは様々な要素で構成されています。建築・インテリア・料理・スタッフ・周囲の自然など…どれもが奥が深く、同じホテルは一つとしてありません。

今回ご紹介したホテルは「自然の中のスモールホテル」ということでオーナー・経営者の方の価値観が色濃く反映されたところばかりです。なぜ、このような建物なのだろうか?なぜこのアメニティを選んだのだろう?など伝えようとしているものを汲み取ろうとするとさらにホテルの宿泊は楽しめると思っています。

1年に1施設でもいいので、少しずつこれらのホテルを泊まっていきたいです!お読みくださりありがとうございました。


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