三木鈴奏/おすすめ児童書紹介

編集者/ライター/インタビュワー。様々な方の生き方、素晴らしいものに光を当てる仕事をしています。 児童小説が好きです。 こどもの心を育むだけでなく、おとなにも多くの気づきを与えてくれるものがたりを紹介します。 ワクワク、どきどき、一歩を踏み出す勇気、日々を生きる希望を届けたい。

三木鈴奏/おすすめ児童書紹介

編集者/ライター/インタビュワー。様々な方の生き方、素晴らしいものに光を当てる仕事をしています。 児童小説が好きです。 こどもの心を育むだけでなく、おとなにも多くの気づきを与えてくれるものがたりを紹介します。 ワクワク、どきどき、一歩を踏み出す勇気、日々を生きる希望を届けたい。

最近の記事

本当に泣いた友情物語『ルドルフとイッパイアッテナ』児童書紹介⑨

今回紹介するのは、 私の大好きな先生が大好きな一冊、 『ルドルフとイッパイアッテナ』です。 のらねこになった2匹のねこのお話なのですが、 前半は2匹の日常を楽しく展開されるのだけれど、 後半からの展開にドキドキハラハラ。 特に、残りの3分の1は、 一気に読み進めてしまうほどのめり込む友情物語。 陳腐な言葉しか出てこないけれど、本当に 子どもにも大人にも読んでほしい一冊。 子どもたちには、 友達との友情とは何かを考えるきっかけになり、 大人にとっては、 これほど友達のた

    • お話の種をまき続ける大切さ――松岡享子さんのドキュメンタリー映画を受けて

      先日(11/18)、東京子ども図書館の設立50周年を記念して行われた、松岡享子さんのドキュメンタリー映画の上映会に参加してきました。 松岡享子さんといえば、「くまのパディントンシリーズ」(マイケル・ボンド/著)などの翻訳家として知られ、私設図書館「松の実文庫」や東京子ども図書館を設立さられた、戦後の児童文学界において、なくてはならない方です。 10年ほど前から、松岡さんに一度お目にかかりたいと思いながらも、機会に恵まれぬままきてしまい、今回ドキュメンタリー映画を視聴させて

      • 〝読書家〟でない私が、本を好きな理由

        本が好きです。 そう言うと、 「読書家なんですね」 と言われることもありますが、私は断じて、読書家ではありません。 謙遜などではなく、本当にそう思います。 「読書家」の定義もいろいろあるのでしょうが、 仮に私は、〝時間さえあれば読書をしてしまう人〟としたいと思います。 〝読書をしてしまう〟というのがポイントで、気づいたら本を手に取り読んでいる人のことです。 〝本の虫〟なんて言葉もぴったりかもしれません。 たしかに私は本が好きで、しかも一冊を読み進めるというより、同時並行で

        • 幼児期のワクワクをくすぐるお話『なつのしっぽ』児童書紹介⑧

          今回は、一人読みができるようになったばかりのお子さんにぜひおすすめしたい一冊を紹介します。 椎名誠さんによる幼児向けの物語、『なつのしっぽ』です。 恥ずかしながら、私は椎名誠さんといえば、『岳物語』や旅行記という印象が強く、小説を書かれているのは知っていましたが、児童書も手掛けられているとは存じ上げませんでした。 たまたま『岳物語』を調べていた時に、児童書も出されていることも知り、いくつか読んで、最も感動したのがこの本です。 書籍紹介📝 あらすじ 北の国の山奥で、

          子供と寝る前に読みたい本『小さな家のローラ』《後編》児童書紹介⑦

          前回の続きで、『小さな家のローラ』について紹介したいと思います。 もしまだ読まれていない方は、前回の記事でこのシリーズの紹介をしているので、そちらを先にご覧ください。 書籍紹介📝 おすすめポイント 『小さな家のローラ』で特におすすめしたいのが、その内容と描写の美しさです。 物語では、お父さんの狩りの仕方(罠の仕組み)、狩った鹿を長期保存するための塩漬けや燻製方法(冬支度)、お母さんの日々の手仕事(バターづくりや保存食のつくり方)・・・といった大きな森と小さな丸太小屋での

          子供と寝る前に読みたい本『小さな家のローラ』《後編》児童書紹介⑦

          子供と寝る前に読みたい本『小さな家のローラ』《前編》児童書紹介⑦

          今回紹介するのは、何世代にもわたって読み継がれる名作、「小さな家」シリーズです。 私がこのシリーズを知ったのは、母からの紹介でした。 このシリーズは様々な出版社から、様々な翻訳家の手によってシリーズ展開がされていますが、母の年代的に恐らく、恩地三保子さんによって初めて日本語訳された福音館書店のシリーズを読んだのだと思います。 ある時、父方の祖父母の家から、福音館の箱入りの5冊セットが発見されると、「小さい頃、このシリーズをワクワクしながら何度も繰り返し読んだ」と、母は懐か

          子供と寝る前に読みたい本『小さな家のローラ』《前編》児童書紹介⑦

          最初に読みたい本格冒険物語『ローワンと魔法の地図』児童書紹介⑥

          私は国内だけでなく、海外の児童書も小さい頃からよく読んできた。特に、『ハリーポッター』『ナルニア国物語』『指輪物語』に代表されるようなイギリスの児童文学が大好きで、岩波少年文庫などもよく読み漁っていた。 イギリスの児童文学や岩波少年文庫については別の記事にまとめたいと思うが、あのカラフルで文庫サイズの表紙を見て、裏表紙の短い解説文を読むだけで、ワクワクしていて、たくさん出ているので次にどれを読もうかと、選ぶ楽しさがあった。 海外の作品の中で、自分が特に夢中になって読み、いま

          最初に読みたい本格冒険物語『ローワンと魔法の地図』児童書紹介⑥

          すべてのお母さんに読んでほしい『おかあさんの目』児童書紹介⑤

          おすすめ児童書紹介ということで、これまで物語を取り上げてきましたが、今日は絵本を紹介したいと思います。 絵本も、大人のためにあるのではないかと思うほど、心に響くものばかり。特に、絵本は読み聞かせてあげるものばかりなので、読み手である若い親御さん、おじいちゃんおばあちゃんなど読み手の心を温かくしてくれるお話がたくさんあります。 その中でも、私が最初に取り上げたいのが、あまんきみこさんの『おかあさんの目』です。 📝書籍情報 あらすじ 3,4歳の女の子が、お母さんの膝の上

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          誰もが夢中になるコロボックルの物語『だれも知らない小さな国』児童書紹介④

          私は影響を受けやすい人だと思う。 物語を本を読んだら、私もあたかもその世界の住人かのようにふるまうことがよくあった。 きょう紹介するコロボックル物語の第1巻『だれも知らない小さな国』もその一つ。〝コロボックル〟という響きがとても好きで、私の身の回りにもコロボックルが実は住んでいるのではないか……なんて空想を膨らませてワクワクしていた時代を懐かしく思い出します。 コロボックルについての詳細は、講談社の特設ページに体系的にまとめられています。何より、ページを開くだけでワクワクす

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          ジブリ映画と合わせて楽しんでほしい『魔女の宅急便』児童書紹介③

          私の好きな児童書を紹介する本コーナー。 3作品目に選んだのが、王道の『魔女の宅急便』。 改めてオススメするまでもないかもしれないですが、だからこそ、紹介してみたいと思います。 いわずもがな、ジブリ映画『魔女の宅急便』の原作であり、シリーズ作品として多くの人にいまも愛され続けています。 私も幼少期に読んでいないはずはないのですが、お恥ずかしい話、あまり記憶に残っていませんでした。ジブリ作品は好きで、映画化されると必ず原作は読んでいます(これはジブリ作品に限らずですが)。 『

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          『いやいやえん』児童書紹介② 中川李枝子先生への感謝を込めて

          中川李枝子先生の訃報に接して 2回目の今回は、中川李枝子先生をご紹介させてください。 中川李枝子先生といえば、絵本『ぐりとぐら』シリーズの他、童話『いやいやえん』など、広く長く活躍され、戦後の児童文学の世界を大きく広げ、深めてくださった先生です。 先週、先生の訃報に接し、これまで先生のご本に導かれてきたご恩が次々と思い起こされてきました。生前の先生の多大なるご活躍に心から敬意を示し、ここに先生のご本を紹介させていただきます。 私は本業の方で、ありがたいことに昨年、先生のご自

          『いやいやえん』児童書紹介② 中川李枝子先生への感謝を込めて

          『霧のむこうのふしぎな町』児童書紹介① 私のバイブル本

          〝児童書〟という定義は難しいなと常々感じる。 児童書といって連想するイメージは、人によって千差万別ではないかと思おう。絵本を思い浮かべる人もいれば、『かいけつゾロリ』『ズッコケ三人組』といった文字が大きく、子供向けに書かれた本だという人もいるだろう。中高生向けのYA(ヤングアダルト)文学などもその一つ。広義で言えば、『ハリーポッター』シリーズも児童書であるが、そのジャンルの枠を越えて愛され続けるだけの力を持っている。 そう、ジャンルを超えて愛され続ける本。 私はそうした本

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