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ルポ 若者流出

しばらく前に、当時朝日新聞の記者をしていた堀内さんから声をかけられて、私が日本を出た理由、という海外に在住している人達の話の特集のひとつとして、記事を書いてもらいました。
その反響が大きかったとのことで、内容が少し付け加えられて本になりました。

一番はじめに私のインタビューをもとにした記事をのせてもらっています。

こうやって記事になってみるとなんだかカナダ移住が特殊な気もしますが、自分としては、これをやってみたい、できるかな、と思いつきから始まったカナダで看護師として働くという選択が特別だという思いはあまりなく、興味があることに対して行動したらなるようにしてなったという感じです。
計画も綿密に練ったわけでもなく、けっこう行き当たりばったりなところも多かったです。
カナダで働いてみたい、そのために資格が必要、資格を取るためにはカレッジにいかなければ、ビザは、などなど、カナダで働くための方法を模索しながら資格を取り就職までこぎつけました。
働くまでは自分がカナダに残りたいのかどうかはっきり分からず、こちらの友達にどうしたいのか聞かれた時に、うーんどうかな、日本のほうが便利だし、と言ったら、それなら日本に戻ったら、などと言われたくらいでした。
カナダに残ろうと決めたのは、仕事を始めてから。
とにかく仕事の内容が、楽といってはよくないかもしれませんが、鬼のように忙しくないし、休憩はきちんと取れるし、職員同士の陰湿な陰口はないし、残業ないし、委員会もない。
受け持ち患者人数も少なくて、採血や検査出し、配膳は看護師の仕事ではないし、看護助手さんが清潔ケアやトイレ介助、食事介助をかなり助けてくれて、日本にいたときの半分くらいしか仕事をしてない感じ。
それでいて給料は二倍だし、休暇も2週間は余裕で取れ、1ヶ月取りたければもちろん取れるし、普段のシフトが4日働いて5日休みなので休んでる日の方が働いてる日より多い。
そして看護師はカナダではとても尊敬される職業です。
こういう違いを経験してしまうと日本でまた働こうという気にはならなかったので、永住権を取ることに決め、永住権取得をし、カナダに残ることになりました。
永住権を取るのは本当に大変でしたが…。

永住権を取ってから、以前少し考えていた大学院のプログラムも取り始めることができたし、仕事はストレスなく続けられているし、収入は毎年少しずつあがるので、カナダの医療や物価の高さなど様々な不便はあるものの、永住権を取って良かったなと思っています。

桃源郷というものは存在せず、どこの国でも良し悪しがあります。本人の価値観やどこに優先順位をおくかで同じ場所でも人によって捉え方がかなり違ってくるのは当たり前。
私は日本よりも良い環境で働けるカナダが好きで生活に満足してますが、働かなくて良いなら日本に住んでても楽しめます(夏以外)。
私の場合は日本を出て良かった。でも日本を出て日本の良さを改めて認識して日本に戻る人もいるでしょうし、それはそれで良いことだと思います。
自分が納得して住める場所を見つけられるということが大切なんだろうなと思っています。

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