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ラグビーの伝道師になる! presented by 野澤さん

本日の講演のテーマ
「皆さんにラグビーの伝道師になって頂く」

そんな自作のスライドで始まったトークライブ。
高田馬場・ノーサイドクラブで行われた、ノーサイドライブvol72 のゲストは、慶応義塾大学ラグビー部→神戸製鋼コベルコスティーラーズで活躍、日本代表キャップも持つ野澤武史さん。玄人が多いJスポーツ視聴者が「マニアックすぎる」と大絶賛する戦術分析で、人気の解説者です。

解説が本業かと思いきや、本業は教科書会社の営業(役員)さん。また、中高生のラグビー選手から原石を発掘して磨く、若手のスカウトでもあります。

時間を忘れるほど楽しく興味深く窺った話を、ほんの一端ですが、ご紹介します。

心に残った話題(1)  "役割(ロール)"の時代

以前に、ワールドカップ日本代表田中選手がラグビーのポジションを動物に例えると・・ で話題になりました。その通り、ラグビーの各ポジションには役割があり、その役割に応じて体形や必要な能力が違っています。

野澤さんは、そこからさらに戦術面で一歩踏み込んで、メンバー数人ごとにポッド(pod)にわけて、各役割を果たしている、とのこと。ポットにおいては3つの役割(ロール)がある、と言います。

1.Bug(虫) FLを除くFW(1-5,8)

目の前のギャップを見つけてアタックする
2.Fish(魚) SH(9)、SO(10),CTB(12)
広い視野で物を見てスペースを見つける
3. Bird(鳥) CTB(13)、WTB(11,14)、FL(6,7)
全体を俯瞰して攻撃をする

9,10,12を攻撃の起点としつつも、サイドの2つのパート(Bird)が、全体を見ながら攻撃を作っていく、と言うことと理解しました。

ラグビーワールドカップの日本代表も、FLのリーチ選手と姫野選手が一番外側でボールを受け取るシーンがありました。「FLは運動量が多い」という基本的なポジション理解だけではなく、FLの運動量を全体の中で役割として考えると、中央で前に進むだけではなく、両側で攻撃を前に進める役割(ロール)を持つポジションに進化しています。

心に残った話題(2) 日本の伝統芸能のすばらしさと厳しさ 

ラグビーワールドカップ2019日本代表だからこそできた技の1つが、「アーリーキャッチ(Early Catch)」。子どもの頃からラグビーをしていると、パスのボールは落とさないように真ん中で受ける、と習います。ですが、真ん中で受け取ると横にパスをするときに、反動をつけるために、パスを投げる反対方向にいったんボールを振ります。アーリーキャッチでは、①ボールが来る方向側でボールを受け取る(真ん中で受けるよりも早い位置で受け取ることができる) ②反動をつけるために振る必要がない ため、より速くボールを投げることはできます。絵にして理解をするとこんな感じ。

ただし、真ん中でボールを受けないわけだから、キャッチミスをする可能性が高い。それをミスせずに受け取ることができるのが、日本代表の伝統工芸とも呼べる技術の高さであり、技術の高さによって、日本の速い展開ラグビーが実現しています。

つまり、高い技術を80分間発揮できるメンバーしか日本代表になることができない、ともいえるわけです。ここに日本代表のONE TEAM に入る厳しさがあると、野澤さんは語りました。

心に残った話題(3)  ATQ (Advance To the Quarterfinal)

日本がワールドカップの準々決勝に進む、つまりベスト8になるためにはどうしたらいいか。2007年に夢を抱き、方法を考え、種をまいた先輩方の物語です。

協会で夢を目指した人のもとに高校ラグビー界の重鎮が集まってきました。高校生から育成していく。ATQ前は、高校日本代表は「思い出ジャパン」と呼ばれる、高校3年生のご褒美のようなものだったそうです。それを有望であれば1年生から積極的に採用して、世界、とくに北半球で戦っていくことで徹底した育成に取り組みました。

その結果が、それが13年かけて芽を出し、成長し、日本開催のラグビーワールドカップ2019でのベスト8進出という形で花開きました。

野澤さんは現在U18以下、中高生の発掘とスカウト、育成を担当されています。こんなにラグビーに詳しい野澤さんが発掘する若手。若手が育ってきたら、次の世代も楽しみで仕方がありません。

感謝💛

抱腹絶倒、話題満載のあっという間の2時間のトークライブでした。戦術の話も、次世代の育成の話ももっともっと聞きたかったです。
難しい話をとても易しい言葉で伝えてくださいました。
きっと半分は残っていたであろう、残りのスライドの続きは、次のトークライブで聴かせてください。

野澤さん、ありがとうございました。

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