見出し画像

トモさんありがとう ~ トンプソン・ルーク選手引退

2020/1/19
日本ラグビー界で、最も愛される外国人選手の1人であるトモさん、こと、 近鉄ライナーズの トンプソン ルーク選手のラストゲームが行われました。トモさんの最後の雄姿を見ようと、トップチャレンジリーグにしては異例の15,000人以上の観客が詰めかけました。

トモさんの16年間

トモさんは、ニュージーランド出身。母国ではカンタベリー州に属し、スーパーラグビーチームのアカデミーに所属。来日は2004年に三洋電機(現・パナソニックワイルドナイツ)入団した時でした。まだ、NZL国籍の ルーク・トンプソン 選手、当時から献身的なプレーは変わりませんが、今ほどのインパクトはありませんでした。

2006年から、近鉄ライナーズに移籍。トップリーグ前の西日本の社会人リーグ時代から、近鉄ライナーズを支えてきました。近鉄ライナーズでは、献身的なプレー、誰にでも丁寧で優しく、親しみやすいキャラクター。東大阪の町を自転車で移動して、たくさんの人に声をかけられる、大人気のプレーヤーとなりました。

近鉄ライナーズへの移籍後、当時の日本代表ヘッドコーチのジョン・カーワン氏から、日本代表入りの打診が入りました。元オールブラックス(ニュージーランド代表)のジョン・カーワン氏はトモさんにとってあこがれの存在。その打診を快諾することで、日本代表入りを果たします。それからワールドカップ3大会に出場、「ブライトンの奇跡」と呼ばれた、ラグビーワールドカップ2015イングランド大会の南アフリカ戦の勝利にも大きく貢献する。最後の逆転に向かう過程で、チームを鼓舞した「歴史を変えるの、誰?」というトモさんの発言は有名。その後一度は「僕はもう、おじいちゃんだから。」と代表を引退するも、2019年、スーパーラグビー ヒト・コミュニケーションズサンウルブズに加入、その勢いで日本代表に復帰。

日本中を熱狂に包んだラグビーワールドカップ2019日本大会に最年長選手として出場し、タックル数47、タックル成功率96%のディフェンスの要として、日本代表ベスト8に大きく貢献しました。

ラグビーワールドカップ終了後、日本代表の引退と、今季限りでの近鉄ライナーズの引退を発表しました。

ラストゲーム

ラストゲームは、秩父宮ラグビー場で行われたトップチャレンジリーグ、近鉄ライナーズ vs. 栗田ウォータガッシュの対戦。近鉄ライナーズにとっては、トップチャレンジリーグ全勝優勝がかかった大切な試合です。

試合は近鉄ライナーズが圧倒的な攻撃をして前半から大きくリード、またトモさんを中心とした堅いディフェンスで相手に得点を許しません。格下相手にも容赦のない、近鉄らしい試合を進めました。

あえて、引退試合らしいことがあったとすれば、後半35分、16年間の試合の中で、おそらく初めてのキックを披露、見事にゴールしました。

後半40分を超えて、近鉄としてはボールを持ったら外に蹴りだせば試合は大勝利で終了、という中で、近鉄は攻め続けます。それは、きっと近鉄の選手も最後まで全力でトモさんとプレーがしたかったから、そしてできれば、トモさんにトライを取ってほしかった、のではないかと思います。会場中もトモさんのトライを期待し、祈りました。
ゴール前で絶妙なパスが回ってきてボールを持った瞬間、選手からも観客からも歓声が上がりました。しかし、敵のディフェンスラインを見て、トモさんはさらに外側にパス。FBマシレワ選手のそのボールを、体を張ってチーム勝利に貢献しました。

自分の活躍よりも、チームの勝利。最後までトモさんはトモさんでした。

近鉄ライナーズは、今シーズンを全勝優勝で終わりました。

引退セレモニー

引退セレモニーが盛大に行われました。チームメンバが着替えたTシャツには「HERO OF HIGASHIOSAKA (東大阪のヒーロー)」の文字が。トモさんのあいさつの後は、会場をチーム全員が1周して挨拶をしました。多くの観客が最後までトモさんの雄姿を称え、拍手を送りました。

最後のトライについては「足遅いからね」と笑いを誘う、最後まで関西人だったようです。

Never say Never

これは 1/25に発売されたトモさんの引退記念本のタイトル。
「二度とない、と言わない」

ニュージーランドに帰る、と言うトモさん。
2015年のワールドカップが終わって引退を決めたトモさんが、また2019年に戻ってきたように、これからニュージーランドに帰るトモさんは、また戻ってくるかもしれません。

トモさん、たくさんの感動をありがとうございました。
いつか日本に東大阪に戻ってきてください。

サポートはラグビー関係のクラウドファウンディングや寄付に充てます(例:ブラインドラグビーのイングランド遠征)。「いいな」と思ったら、サポートをお願いいたします。