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妊娠中のCOVID-19不安:イェール大学

イェール大学のサイトに産婦人科医療チームが妊娠中のCOVID-19の不安について解説されているページがあります。リンクはこちらです。

このリンクに書かれている事をざっとまとめました。そして少し補足説明も追加しています。このリンクはまず3月20日に公開され3月24日にアップデートされており、現在4月10日時点での要約です。

1:中国でのCOVID-19の様子の様子では妊娠中の女性はCOVID-19の重症例になるリスクは高くないようです。

2:インフルエンザ・ウィルスや他のコロナウィルスは妊娠中にかかりやすいものもありますが、COVID -19を起こすウィルスでは中国のデータを見る限り、そうではないようです。

3:COVID-19の症状はインフルエンザの症状と似ています。

4:予防法は妊娠してない方々のコロナウィルス予防法と同じです。(手洗い20秒、社会的距離、テーブル・ドアノブなどよく触れる表面をこまめに消毒、顔を触らないなど)

5:妊娠中の母から子への垂直感染はAJRという医学雑誌に発表された38人のCOVOD-19陽性だった妊婦の症例には見られませんでした(下のリンクが元文献)。しかしまだ妊娠初期に感染した時、どうなるかなどは分かっていません。他のコロナウィルスは胎児の先天性障害を起こしたりはしないようです。
https://www.ajronline.org/doi/full/10.2214/AJR.20.23072
https://www.archivesofpathology.org/doi/pdf/10.5858/arpa.2020-0901-SA

イェール大学のニューヘヴン病院ではコロナ陽性の妊婦さんが赤ちゃんを産まれた後に、至近距離での飛沫やコンタクトで新生児が感染するリスクを減らすため、お母さんには赤ちゃんと別室にいてもらうようにしています。

6:授乳でコロナウィルスがうつってしまうのかについてはまだデータがありません。母乳には大切な栄養が入っているのですが、皮膚同士の直接の接触や母からの飛沫感染を防ぐため、普通の授乳はおすすめしません。清潔テクニックで母乳ポンプを使い母乳をとり、それを消毒した哺乳瓶に入れ、コロナを持っていない医療スタッフにより清潔テクニックで赤ちゃんに飲ませてあげるのをコロナが落ち着くまでは続けるのが良いでしょう。

(補足:この授乳の部分はCDCが伝えている事と少し異なっております。CDCは母乳にウィルスは出てこないという限られた文献から授乳はオーケーとされています。ただ手洗いをしっかりしてマスクをつけるように書かれています。こちらを参照ください)


7:妊娠中の方が風邪のような症状を起こし、発熱が2日以上続くようならコロナホットラインに電話してください。

8:産婦人科のドクターとのコミュニケーションなど
(1)ビデオ診療でも妊娠中のフォローは安全に出来ます。コロナ陽性者との被曝歴などなく、軽い風邪のような症状なら自宅待機と自己隔離を、コロナ疑いがあるなら近くのテストをやってくれる検査所を勧められると思います。
(2)赤ちゃんの健康と妊婦さんの健康のために毎日できることは:キックカウント(赤ちゃんが何回キックしているか)と血圧チェックです。(妊娠中高血圧などないかどうか)
(補足:キックカウントというのは胎動の事です。妊娠18−25周目を過ぎると感じられるようになります。携帯のキックカウント・アプリでモニターすることも可能です。1時間以内に胎動が10回以上あるのが正常です。胎動、血圧以外にも自分の脚のむくみがどうなっているかなどについても自分で簡単にチェックできビデオ診療でドクターに見せることも可能です)
(3)COVID19の症状が出て、妊娠への影響が起こりうるような場合には産婦人科へ電話をし、ドクターをお話しした後に適切なアドバイスに従ってください。レイバーデック(分娩室)に行ってくださいと言われたらそうしてください。その場合、駐車場に到着したら車の中から連絡し、スタッフがマスクを持ってあなたをエスコートしてくれるまでお待ちください。あなたの診察は部分的にビデオで行われるかもしれません。ご了承を。

9:病院に来て分娩をするのは安全ですか?
私たちの病院では特別に消毒して安全に分娩出来る様に準備をしていますし、ハイリスクの分娩にも対応できるスタッフと設備がありますので当院での分娩は安全に行われます。

10:病院での訪問者の制限はありますか? 
訪問者を一人入室させる事が出来るのは「お母さんが特別なケアが必要な時」「分娩中」「分娩後」「糖尿などある場合」です。お一人を選んでください。訪問者の方はコロナのスクリーニングをされ、それが陽性でしたら病室へ入る事は出来ません。ですのでバックアップとしてもう数人誰に来て欲しいのか決めておいてください。
11:ドゥーラの方に来ていただ行きたいのですが:
ドゥーラの方達は最近とてもクリエーティブになられてFace Timeやズームなどであなたの分娩を応援・サポートすることが出来ます。そして彼らは分娩の前からあなたの分娩への準備をして下さっている事も忘れないでください。
(ドゥーラとは:妊娠中・産前産後のお母さんを支えるケアの専門家のことです)

12:コロナが陽性になった状態で赤ちゃんを産む時
分娩室のスタッフたちは防護ガウン・マスク・フェイスシールドなどをしています。赤ちゃんが生まれた直後、残念ながらお母さんがすぐに抱っこすることは出来ず(接触による感染を防ぐため)赤ちゃんはすぐに別室に連れて行かれますが、母乳はブレストパンプを利用して別室であげる事が可能です。赤ちゃんケアーに関しては赤ちゃんを担当する小児科ドクターと色々話し合い決められていきます。

13:私は妊娠中のヘルス・ケア・ワーカーです。COVID−19の患者さんをケアーしない方が良いですか?
現在のところACOG(アメリカ産婦人科学会)から正式に妊娠中にCOVID−19の患者さんをケアーしてはいけないというようなレコメンはされてませんが、コロナの疑いがあるまたは陽性の患者さんケアーの際にはスタンダード・プリコーションでの十分な注意が必要です。ハイリスクなエアロゾルを発するような手技などを控えるのも良いかもしれません。

14:家の外に仕事に出なければならない
仕事を家でできるならそうしてください。その方が社会の感染予防にとってベストです。あなたの職場がそれを許してくれないなら細心の注意を払ってください。

15:この初夏の旅行は中止した方が良いです。妊娠中は血栓の発生などのリスクもあります。

16:COVID19のテストをするにはどうすれば良いですか?
現在はユニバーサルにテストをしておらず、条件を満たしたリスクのある方達がこのテストを受けることが出来ます。

17:公共のバスや電車などで咳をしている人が隣にいました。COVIDのテストを受けることが出来ますか? その場合にはテストは必要ありません。症状ない場合にはテストは必要ありません。発熱や息苦しさなどの症状が出ましたらクリニックに電話してください。

18:妊娠前の検診時の診察に付き添いを連れてきても良いですか?
感染のリスクを減らすため付き添いはご遠慮願います。

19:私にはもう一人小さな子供がいます。私が入院中に一緒に連れてきても良いですか?
残念ながら出来ません。健康なご家族・親戚の方にそのお子さんの面倒を見ていただくようあらかじめ手配しておいてください。理想的には心臓や呼吸器系の基礎疾患がない健康な方に面倒を見てもらわれるのがベストです。

20:アメリカのWICプログラム(食べ物などのサポート)の情報
Chapel Street YNHH Saint Raphael’s Campus—(203) 789-3563
Hill Health Center—(203) 503-3080
YNHH York Street Campus Howard Avenue—(203) 688-5150
Fair Haven Community Health Care—(203) 773-5007

21:病院にいる時間を減らすため早めに退院しても良いですか?
分娩後24時間経過し新生児血液テストの結果が出ているならOKです。

22:その他、普段と違う入院時の準備は何ですか?
残念ながら早産児への一酸化窒素の吸入をする治療が今は出来なくなっています。そして分娩室の外へ出る事も制限されています。お好きな音楽などを持ってくるのを忘れないでください。birthing balls (空気を膨らませた大きなエクササイズボールのようなもの)やロッキングチェアがあり、明るく広々としたお部屋を用意してありますので、快適に過ごしていただけると思います。無痛分娩の設備も整っています。

以上

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