長距離輸送の最適化

配送計画の研究はたくさんあるが,長距離輸送のものは少ない.これは,FTLの直送問題になり,2024年4月からトラックドライバーの時間外労働時間上限が960時間に制限されることもからんで,重要性を増しそうだ.

ドライバーを毎日自宅に返すルートを策定することを国土交通省が推奨し,ケースなどを集めている.

https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001325036.pdf

中間地点でドライバーが交代するか,コンテナだけ切り離す方式が考えられている.ドライバーがトラックを交代するためには,中継地点で「ちょうど」交代する必要がある.ちょうど休憩時間にあたるときに中継地点につけば,待ち時間はさほどでもないが,そうでない場合には,別のトラックが到着するのを待つことになる.

これを定量的に解析するための封筒の裏モデルを考えてみた.A地点とB地点間に相互に輸送が必要で,中間地点Cで待ち合わせしてドライバーの交代を行うことを考える.同じ時刻につくように調整するので,ACとBCの移動時間の平均は等しいと考え,両者とも N(mu,sigma^2) の正規分布にしたがうものと仮定する.

待ち時間は到着時刻の差の「絶対値」になる.これは半正規分布とよばれ,scipyを使えば分布関数や密度関数,期待値,標準偏差は簡単に計算できる.
https://scmopt.github.io/analytics/11scipy.html を参照)

これを使えば,(たとえば)東京・大阪間の輸送で,名古屋を中継地点として選んだ場合の待ち時間を「解析的に」出すことができる.休憩時間が30分の場合の30分を超える確率や,超えた時間の平均なども計算可能だ.

日本では,トラクター・コンテナ方式はあまり普及していないが,トラックを交換する場合と比べたメリットも評価できる.今後は,自動運転追従車のによる仮想のコンテナの運用も可能になるので,中継地点を考慮した長距離輸送最適の研究と実用化が必要になると思われる.


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