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役に立たないことをするレッスン

最近の私の脳内は、主に実用的なことで溢れている。

私の脳のエネルギーは、主に、仕事や、財テクや、英語フレーズの暗記といった生産的なことに消費され、連ドラや映画などの不要不急のアイテムは、実用に疲れた脳を癒すために添えられたおまけみたいなものである。

しかし、本来の私は役に立たない、無駄なことが好きだったはずであり、むしろ不要不急のアイテムを作り出すほうの人間だったはずだ。

子供の頃は常に漫画を描いていたし、大人になってからは、頼まれもしないのに観た映画や本のレビューを5000字くらいでノートに書きなぐったりしていた。今はお金をもらったとしても本のレビューなんか書きたくない。一体何が起きたのだろうか。

創造性が自分の中から失われていくのは恐ろしい。ルーティンの作業ばかりしていたらそのうちボケるんじゃないだろうか。加齢に伴って脳のある部分が機能しなくなってきているに違いない。

これはいかん、脳トレのつもりで何かを創作してみよう! と、過日、半日ぐらい、白紙のノートに向かって小説みたいなものを書こうとしてみた。大体、「脳トレのつもり」の段階でもう実用が下心にあるのだから救いようがない。

もちろん半日は単にツイッターを眺めたりして無為に過ぎ、私の脳内にはもはやクリエイティビティのかけらも残っていないことが露呈しただけだった。

だから、このほぼ誰も読んでいないnoteで、無駄なものを生み出すレッスンをしてみようと思う。

いきなり小説を書いたりするのはハードルが高いから、あらすじを書いてみればいいのだ。ある日、道でぶつかった女子高生と男子高生の魂が入れ替わるとか、そういうメモでいいのだ。

たとえば、

ある日、20年前に死んだはずの父親が、20代の青年になって娘の前に現れる。大富豪の家に生まれた父は、若い頃ひそかに科学者と結託して自分のクローンを製造しており、死後は自分の脳内の情報を移植して生まれ変わるプロジェクトを進めていた。
しかし、若いうちから大金を手にした青年がやりがちな、ろくでもない投資や女遊びのために資産を食いつぶし、ついには酒の飲みすぎで肝臓を痛め、50代の若さで失意のうちにこの世を去った。

死ぬ間際、彼は自分の再生を求めて科学者のもとを訪ねるも、彼は記憶の移植は残りの請求額、およそ2億円を支払わってもらわない限り出来ないと断ったのだった。

しかし父の死の直前、科学者はひそかに入院先に潜入して彼の脳の情報を入手し、この世界的実験を完遂するためのパトロンを探していた。そして、20年が経ち、ようやく彼は実験費用を手に入れたのだった。生まれ変わった父は、失敗した人生を取り戻すべく娘と暮らし始める…。


#小説 #日記   


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