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なんで彼と別れたかって?

最初の彼・・・

そうそう、熱心な宗教の信者で
言う事聞かないと暴力振るう彼ね。

普通ならそれで別れる理由十分じゃね?って
思うのかもしれないけどね、

ダメ男を選んじゃう人って
ダメの基準が甘いから
まだまだダメじゃないの。

2人の間では結婚とかそんな話しも出ていて
親も結婚するでしょ的な雰囲気があって、
ぼんやりと「それでいいか」な私もいて・・・

田舎って結婚早いのよ・・・
20歳で既婚子供ありなんてザラ。

じゃ、なんで別れたかって?

ある日ね、近所のスーパーで見かけたのよ。

同じ年ごろの女の人が
毛玉のいっぱい付いたセーター着て、
子供の手を引いて、
スーパーの袋を持って
疲れた顔で歩いてる姿。

それまでだってそういう人を
見てたはずなのに、
そこに自分を重ねる事なんてなかったの。

でもその時はそこに未来の自分の姿を見て
心臓がバクバクした。

ず~~っと親の言いなりで生きてきて
何もしないまま、結婚して家庭を持って・・

旦那の言う事を聞かないと
殴られるんだろうな・・・

えっ??

そこで初めて
「それでいいの?このまんまでいいの?」

それからは毎日寝ても覚めても
あの女性の姿が浮かんできて
何とも言えない憂鬱な気分だった。

そしてその日はやってきた。


お正月も明けて
明日が仕事始めという日の夜中、
父と大喧嘩をした母が
雪の中いなくなった。

父が血相を変えて探していた。
「死ぬかもしれない・・・」

私は雪の中、車で探しにいった。
ツルツルと滑る路面、
誰も歩いてない大雪の夜、
自殺するかもしれない母親を
探しにいくとか・・・

狂ってるよ我が家・・・

死ぬってどこ探せばいいの?
こんな雪の中、
朝までいたらそりゃ凍死するだろうけど・・・

まさか、踏切?

一番近い踏切に向かって行ったら
踏切の前に立ってた。

クラクション鳴らした。

虚ろな目でこっちを向いた母を見て
もう本当に全てが嫌になった。
あの瞬間の怒りと絶望・・・

私は車から降りて、
母親を掴んで
「ここで死ぬとか止めてくんない?
馬鹿じゃないの?」って叫んだ。

家に連れて帰って
父親に「いい加減にして!」と言いながら
母に向かってカバンを投げつけた。

もう母の顔を見るのも嫌だった。
耐えられなかった。

そこからは早かった。

日帰りで東京に来て
住む場所を決めた。
会社にも辞表を出して、
引っ越しの日程も決めた。

誰にも言わずに・・・・

東京に出てくる2日前に
「東京に行くね」と彼に伝えた。
「いつ帰ってくるの?」と彼。
「もう帰って来ないよ」
「え?どういう事?」
「東京に行く理由は親だけど、
正直、あなたの宗教にも
暴力にもうんざりした。
もう全てにうんざりした。
だからもう帰って来ない」

怒りを露わにした彼に
「また殴る?」と聞いた自分は
今までとは違う自分だったな。

たぶん、母への溜まりに溜まった怒りが
彼に対する怒りに変わったのだと思う。

母は言葉という暴力で、
彼は力という暴力で
私を思い通りにしたいという点では
一緒だったから。

あの夜、父と母が喧嘩しなかったら
私はどんな人生を歩いてたんだろう?

災い転じてってやつだ。

え?彼は納得したのかって?

まさかまさか!

引っ越し先教えなかったけど
友達から入手していきなり現れたよ。

東京での一人暮らしが楽しすぎて
彼が全く魅力的じゃなくなって、
どうでも良くなっちゃったのよ。

女って怖いわぁ・・・

何度か来てくれたけど、
もう無理って分かって
それっきり・・・

母に抑圧されて生きてきた私にとって、
風呂なしのボロアパートでの一人暮らしでも
天国そのものだった。

私は1度たりとも実家が恋しいと思った事がないし、
帰りたいと思った事もない。

まぁ、それでも実家にはちゃんと帰ったし、
両親の葬式では泣いたよ。

自分を嫌いにならないためにね。



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