TheModel不要論?その前にもっとバトンパスこだわろうぜ!って話
みなさんこんにちは、SalesOps Lab.の遠藤未来彦(みきひこ)です
先日「TheModelを導入すべきか否か論争」をXで見かけて思いつきでこんな投稿をしたのですが、もうちょっと詳しく書きたいなと思ってこのnoteを書いた次第です
1.部門間連携のミスはリレーでバトン落としているのと同じ
先に補足をしておくと、リレーにおけるバトンはチーム全体の想いを背負っているだけあってとても「重い」です(箱根駅伝の「襷」と同じです)
どこかの区間でバトンを落としたらもう挽回不可能、負け、チームや大会によってはインシデントです
TheModel型組織の良いところは、それぞれが専門性を発揮することに集中できることだと思います
400mを1人全力で走ることは難しくても、4人でそれぞれが得意な区間を全力で走ればそっちの方が当然いいタイムが出ます
しかし、リレーには大きな変数があります
それが「バトンパス」です
1走→2走、2走→3走、3走→4走
MK→IS、IS→FS、FS→CS
TheModelと同じく、3カ所にバトンパス区間(引継ぎ)があります
ここで、澱みなくスムーズにバトンが渡れば、4人のタイムの合計よりも速いタイムが出せますが、バトンを止まって渡したり、渡す時に落として拾ってから走ればその分ロスになります
つまり、引継ぎがしっかりしていて各部門が実力以上のパフォーマンスを発揮できるのが良いTheModel型組織、一方で引継ぎがきちんと出来ておらず1人で全部やるよりパフォーマンスが落ちているのが悪いTheModel型組織
これまで、ISとCSの立ち上げに関わり、SalesOpsとして俯瞰して見てきても、それぞれが個々の役割に精一杯で引継ぎや認識の統一などの部門間連携が満足にできない営業組織をたくさん見てきました
協力すべき部門間の繋ぎ目で喧嘩が起こるというパターンです
まるで、バトンパスで毎回バトンを落として、後ろの走者が悔しさと申し訳なさに涙を浮かべながら、落としたバトンを拾うために振り返って戻って、拾った後また走り出す光景に重なります
どれだけ慎重な守りのバトンパスをやっても、400mを1人で走るよりも遅くなることは無いはずなのですが、3区間でバトンを落として拾ってその度に喧嘩して…ってやってたら、そりゃ1人で走った方が速いよねってなるのは当然の話だと思います
2.理論上、バトンパスでどれだけの差がつくのか
バトンパスはリレー日本代表の「お家芸」と言われて久しいですが、それは日本人が走力や身体能力で欧米諸外国に比べて劣っていても、リレーだったらバトンパスの技術でカバーできるので9秒台を並べてくる強豪国にでも競り勝ってメダル獲得ができていたからそう呼ばれていたわけです🥈
バトンパスの評価はリレーのタイムが4人の100mのベストタイムの合計から何秒縮められたかが1つのKPIになってると聞いたことがあります
ちなみに日本記録は37秒43(2019年ドーハ世界陸上)
一方、その年のリレーメンバー4人のシーズンベストを合計すると40秒29なので、2秒86のタイム差があります
100分の1秒を競う厳しい世界で、なんと2秒86もタイムが縮まるんです👀
つまり、バトンパス1回につき、0.95秒のタイムを短縮している計算になります(2.86÷3=0.9533…)
この0.95秒がどれぐらいの差かというと、世界記録(9秒58)と、全国は出れないけど関東インカレにギリ出場できるかどうかレベルの大学生(10秒53)ぐらいの差
正しくバトンパスが出来れば、関東レベルの大学生が全盛期のボルトと並んで走れるくらいのパフォーマンスアップにつながります
それだけ、バトンパスには可能性とロマンがあるんです🔥
3.バトンパスがどれだけ緻密で水物なのか
どうやってバトンパスの精度を上げているか、「走り出しのタイミング」「受け渡す手の位置」「バトンを渡す距離」など、いろいろあります
※以下、技術的な解説になりますが、まともに読まなくていいです
①走り出しのタイミング
まず最初に、バトンもらう側がどのタイミングで走り出すかを決めます
②受け渡す手の位置
次にバトンを受け取る手の位置もチームによって違います
ちなみに日本代表は長らくアンダーハンドパスを採用しています
③バトンを渡す距離
最後に、20mのテークオーバーゾーンの中で、どの位置(手前、真ん中、奥)でバトンを渡し切るかも重要な戦略です
このように、バトンパスってリレーメンバー間でたくさん練習して、細かく綿密に調整して、さらに状況に応じて微調整するぐらい細かく連携とってるんです!(これは高校レベルの一般論で日本代表とか絶対もっと凄い)
と、長々とバトンパスの話をしてきましたが、何が言いたかったかで言うと、TheModel型で上手く行く行かない議論する前に、ここまで引継ぎだったり、部門間の連携こだわれてる?って話です
ここまで引継ぎの項目やフローもこだわれていたら
TheModel型組織が機能しないわけないと思うんすよね
4.そもそもリレーが向いてる組織と向いてない組織
TheModel型組織の向き不向きは部活動の選手層と練習環境に近いと思ってます
そこで、今回は「エース一強型組織」と「強豪校型組織」に分けて考えていきます
①エース一強型組織
ごく普通の公立高校で専門的な指導者もおらず、練習環境も特段良いわけではない
けど、1人だけその地域では上位に入るエースがいる
自分の高校がこのタイプでした
このタイプの高校は100mの選手が4人もいないケースも多く、リレーは出場するものの他の種目からメンバーを駆り出すので、急造チームで地区大会でも決勝には残れません
ただし、エースは個人種目でそこそこ良いところまで勝ち上がります
こういう組織はTheModel型を導入すべきではありません
なぜなら専門性の無い4人でバトンをつなぐよりも、個人で一気通貫した方が成果が出るから
これが当てはまるのがスタートアップのように、少数精鋭でハイパフォーマーはいるけど、セールス全体として仕組みが整っておらず専門性を担保できていない組織
下手に分業して繋ぎ目で減点を貰うよりは、1人で駆け抜けた方がロスなく安定して成果が出せます
「お客さんの数は限られているけど、一社一社に全力投球!」
といったタイプの組織にTheModelは不要です
②強豪校型組織
スポーツ推薦で入部している選手も多く、専門の指導者や練習設備にも恵まれている
リレーはもちろん、個人種目でも複数名が全国まで行く
私の母校である筑波大学はそんなチームでした
(100m10秒台は30人くらいいました)
このタイプのチームは、ハイパフォーマーが大量にいるだけでなく、200mを専門としていてカーブ走るのが上手い選手や、100mまでしか走れないけどスタートめっちゃ速い選手など、独自の専門性を持った選手がたくさん所属しています
コーチの指導力も高いので、バトンパスも技術が高いです
人材は豊富なので、予選はエースを温存しても余裕で決勝までいけます
こういう組織はTheModel型組織を導入すべきだと思います
なぜなら、得意な部分に集中・特化した方が組織全体でさらにパフォーマンスが上がるからです
これが当てはまるのが、ある程度営業の人数が多く、きちんとノウハウや仕組みが体系化されており、営業戦略などに対するマネージャーの理解度も高く、イネーブルメントなどが正しく機能している組織
それぞれの得意分野に集中することで、質の高い営業が大量生産できます
「お客さんの数が多く、質を担保するために属人性を排除!仕組みで勝つ!」
といった組織にTheModel型組織は向いてると思います
顧客視点で見た時に、前者は「○○さんだから発注しよう」という形になるケースがほとんどだと思います。一方で、後者は「専門性の高い人がウチにとっての最適解を提案・実現してくれるから安心」とまで思わせる必要があります
5.まとめ
今回何が言いたかったかで言うと、TheModel型組織が良い悪いというゼロイチの論調が高まっているけど、組織の特徴によって向き不向きがあるだけの話だよねっていうことが言いたかった訳です
「リレーは陸上の花形!だからそこに注力するぜ🔥」って流行りで注力したものの、他が強くて全然勝ち上がれない
そんな思考停止な営業戦略ではなくて、果たしてTheModel型は自分たちにフィットするのか、ジャストフィットさせるためにはどう言う形を作れば良いのかから問い直す
最高の形でバトンを次に繋ぐにはどんな引継ぎが必要なのか、それを浸透・推進させるにはどんなオペレーションが必要なのか
ここまでこだわった結果を見た上で結論を出すべきではないかなと思うのです
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
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