猫も人間も新しい家で新しい暮らし
モフモフ猫とハチワレ猫。
庭に初めて現われたときから二匹一緒だった。
初めてみたのは早朝。庭側の二階の窓から、隣家との境からどこを見ているのか、周囲の気配をうかがっているのか、辺りを見回している二匹の姿があった。
彼らのいた辺りにごはんを置き、すこしづつ家に近づくまでも、家の窓辺でごはんを食べるようになってからも、ずっと二匹一緒に、ごはんくださいとやってきて、二匹並んでごはんを食べた。
彼らが現われて初めて迎えようとする冬の始まりに、彼らのハウスを作ったのは既述のとおりだ。
猫たちがのぞいていた窓に沿うようにハウスを置いた。入るか。期待と心配が交差する。
先ずはモフモフ猫が偵察するかのように様子をうかがっている。
なんだ、これ、大丈夫かと言わんばかりに辺りを見回し様子にも気を配る。
大丈夫だよと声をかけるわけにもいかない。なるべく見ないように、耳だけをこちらに向ける猫のように全身の意識は窓に向けながら、気がついていないフリをする。
モフモフ猫が辺りを気にしながら、中に入った。なかなか出てこない。窓をそっと開けて、そっとのぞいてみる。モフモフ猫と目があった。ごめんごめん、ゆっくりしてねと言いながら、慌てて窓を閉めた。
ハウスは2匹で入れる大きさに作ったけれど、ハチワレ猫はまだいない。
しばらくして、どこからともなく帰ってきて、モフモフ猫と同じようにハウスの中をのぞいた。中にはモフモフ猫がいる。間もなくハチワレ猫がハウスに入った。モフモフ猫がいたので、これは大丈夫なんだと認識したらしい。
こうして無事に2匹の猫は一緒にハウスに入った。我が家は彼らの暮らす『いえ』になった。
家の中にも2匹の猫がいる。縁もゆかりも無いが、偶然におなじサバトラ猫だ。
窓越しにモフモフ猫とハチワレ猫とごあいさつ。
2匹のサバトラ猫は、そもそも自分たちを猫だと思っていないかもしれないので、なにやら不思議そうに窓の向こうの猫を見る。
一方のモフモフ猫とハチワレ猫は、こいつら猫なのに、なんで、この中にいるんだとばかりに窓からのぞいてる。
どちらもフーファーはしない。
朝はシャッターをあけるとハウスから2匹が出てくる。おはよう、起きたか?とでも言ってるようだ。こちらも、おはよう、ごはんねと言って1日が始まる。
夜はハウスの中の2匹に、おやすみねと言いながらシャッターを降ろして1日が終わる。
人間とサバトラ猫2匹は引っ越してきて、まだ間もない頃で、モフモフ猫とハチワレ猫もいままでとは違う自分たちの居場所ができて、どちらも新しい暮らしが始まった。
画像はオリジナルです
©たかはしみき
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