Margo-物語と糸- #35 |『ムーミン』を染める 3
Margoが染める『ムーミン』の糸。3色目は「針葉樹の森」です。
国土の7割を森林が占めているフィンランドの人々は「森の民」と呼ばれているのだそう。作者のトーベヤンソンはフィンランド人ですから、森がその作風に影響しないはずはありません。それは、トーベ・ヤンソンがいちばん初めに書いたムーミンの物語『小さなトロールと大きな洪水』が、森の中から始まるところでも明らか。海や沼、洪水ほどのインパクトはありませんが、森もムーミンの世界にとって大切な存在なのです。
8月終わりのムーミン谷では日が暮れると少し冷えてくるみたいです。この糸もそんな、ひんやりとして少し薄暗い針葉樹林をイメージしています。
魅力的なフィンランドの森
ムーミンたちはだいたい11月には冬眠に入りますが、冬の間ゆっくりと眠ろうと思ったらおなかにどっさり松葉をつめこんでおくことが大事なのだそうです。
このときの松葉もやはり、フィンランドの森に欠かせない針葉樹のひとつ。資料によれば、フィンランドに生息する木は4種類の針葉樹と27種類の広葉樹があるそうで、「マツ」「トウヒ」「白樺」の3種類で全体の99パーセントをしめるのだそう。マツは正式名をヨーロッパアカマツ(Scots pine)といい、高さ25メートルまで成長するといいます。写真を見てみるとまっすぐ伸びた幹や先端がとんがった樹形など、日本の庭にあるマツとはずいぶん趣が違います。
フィンランドには、スウェーデンやノルウエーと同じく「自然享受権」というのがあるそうです。すべての人に対して自然の利用を認めるもので、「森の中にあるキノコやベリーは誰でも摘んで良い」というルールです。そのため森を愛する人たちは季節になるとたくさんのベリーを摘み、冬の間食べるジャムをいくつも作るのだそうです。そういえば、物語のなかでもよくムーミンママが作り置きしているベリーのジャムが出てきますね。
わたしもいつかフィンランドに旅することがあったら森を歩いてみたい。そして、カゴいっぱいベリーを摘んでみたいと思っています。
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