短歌⑨

あの人が触れた傷痕なくすよう上をたどって消毒をして 

提供のうしろで打者のホームラン 「一部の地域」8時50分 

枕とか杖とかサンドバッグとか 私仕様のあなたの体 

出来立ての湯気一番に届けたい向かい合わせの夕の食卓 

暇な日に百人一首の「忍」の字を数え安心するフリーター 

いつの間にかルージュの似合う歳になり ルージュの似合う歳を過ぎてた 

すみっこの新芽は夏のはじまりに飛ばしたすいかの種だ ごめんね 

今もまだ岡本太郎が生きてても私はきっと無職で独身 

自分史を書くほど派手な過去もなく「そこそこオブ・ザ・イヤー」獲得 

あと何周したら赦され海へ出ることが叶うのか遊覧船 

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