短歌⑩

遥か上 有人飛行のほしに向け手を振る君を織姫と呼ぶ 

AVの中のあの子がいいのならどうぞ勝手に右手と遊んで 

南北の王子と語るイケメンによくよく聞くと最寄り駅とか 

近付いて肌を寄せてもひとつにはなれぬ二人を邪魔する粘膜 

この場所にいないあなたの存在が大きく包む喪服の日和 

薄羽(うすばね)を手荒く掴み鱗粉の残る指先 罪深き野辺 

宝くじ売り場の前で待ち合わせ二時間後には距離を縮めて 

子供らの走る足音笑い出す声鈴のよう昼寝を醒ます 

真ん中の楽譜一枚抜けていて永久(とわ)に終われぬショパンのワルツ 

パソコンの設定なんて本当はできるけれども招く口実

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