アイドルでアーティストでエンターティナーの彼らについて ~SixTONES新曲「マスカラ」発売に寄せて~

小学生の頃、シブがき隊の布川敏和が好きだった。

他の2人に比べてちょっとカッコつけきらない三枚目の要素があるところが好きだったように記憶している。

中学生の頃は光GENJIが大流行していた。

大流行していたのでそれなりに履修していたし、好きな楽曲も多かったが、特に好きなメンバーがいたということでもなかったので(友達同士で「光GENJIで誰が好き?」という話題は時折出たので答えてはいたが、確固とした主張はなかったので流動的だった)、それほど深い思い入れはなかった。

その後は、バンドブームもあって、バンド、音楽、ミュージシャンに興味を持って長く過ごし、CD屋でバイトしたり、渋谷HMVの1階をぐるぐる巡ってCDをアホほど買ったり、ライブに通ったりしていた。

そんなこんなで社会人になってしばらく経ったある日、天啓を受けたように、突然、当時中学生だった二宮和也に夢中になった。

元気にドタバタしているこどもたち(にしか見えないJr.たち)の中で、ひとりめちゃくちゃやる気のないオーラを出しているくせに、何をやらせても人並み以上にできるというその姿に、只者ではなさを感じた。

嵐のデビュー発表の時には泣いた。

嵐のデビュー記念の握手会に行ったことと、できたての時に入会したファンクラブの会員を今も継続していることと、偶然相葉さんの実家の近くに住んでいたことは、今でも自慢だ。

最初はコンサートにもよく行ったが、そのうち、他のバンドにハマったり仕事が忙しい時期があったりして、テレビを見たりCDを買ったりメンバーの出演する映画を見たりするくらいの、つかず離れずくらいに嵐ファンを継続している感じだったところに、件の休止である。

彼らも長くひとつのことをやっていて、それなりに年齢を経ていろいろ思うところもあっただろうことは想像に難くないわけで、そのこと自体には反意はない。

しかしそりゃ寂しい。

5人が仲良くいろんなことをしている姿が好きだったし、仲がいいからこその遠慮なさからくるざっくばらんな雰囲気はなにものにも代えがたいと思っていた。

休止前には今まで以上に番組もよく見たし、長らく行っていなかったけれど良くも悪くもこのご時世のおかげで配信となったコンサートを家で見ることができて、お疲れ様、いままでありがとう、いつかきっと5人で戻ってきてね、と強く強く思って2020年を終えた。


と、ここまでが前置きです。すみません。長いです。

自分の中の永遠のレジェンド・嵐が休止して半年、予想外に別のジャニーズグループにドはまりする自分がいるとは、その時には夢にも思わなかったわけで。

それが、SixTONES。

それは2021年2月、「1億3000万人のSHOWチャンネル」に彼らが出ていたのを見た時のこと(嵐のメンバーが出てる番組は今でもよく見ています)。

思えばあの番組で松村北斗が「何してくれんだ」って言い放った瞬間に、私はこのグループに夢中になってしまったのだった。

とにかく全員しゃべるしゃべる。

ボケもツッコミも渋滞しまくっているが、6人ともあんまり気にしていないってことは、彼ら、日常的にこんな感じでしょ?

それぞれみんな口は悪いようだけど、得も言われぬ安定感がある。

そのへん、件の彼らの雰囲気に似ていなくもない。

ちなみにこの放送はHDDに残していて、今でも週に1回以上は見ているくらいに好き。

でもまあ、その時にはまだ、そうか今のジャニーズの若い人たちにはこんな人たちもいるんだなー面白いなーと思っていただけだったんだけれども、そうやって気になりはじめたら、その後の他の番組なんかも気になってくる。

それまでも、先輩(主に嵐)の番組に出ているのは見たことがあったし、それぞれがドラマとかバラエティに出ているのを見て、この子はSixTONESなのかと思ったことはあったけれど、なんとなくメンバーを知っていて、なんとなくデビュー曲を知っていて、まあそれくらいだった。

でも、気になってきたら、その後はあれもこれも気になる。

新参者とは言え、今まで様々な他の推し活をしてきた身としては、基本的に公式で出ているもの、正規のルートで入手できるもの、のみを摂取したいと考えている。

物足りないのではないか?

しかし、そこはさすがに「ジャニーズをデジタルに放つ新世代。」という肩書を持つ彼らSixTONES、公式のデジタルコンテンツがアホほどある。

嵐も休止前には積極的にデジタル配信をしていたけど、その比でははない過去のデジタルコンテンツの質量に、古いジャニーズファンとしては本当に驚く(ちなみに、YouTubeを積極的に見始めたきっかけはジャにのちゃんねるだったりもするのだが、それはまた別のおはなし)。

マジで、見ても見ても終わらない。

丸々2ヶ月ほど、夕食後から寝るまでの間の時間のほとんどをSixTONESのYouTubeと配信で見られる過去のドラマ、映画などにつぎ込む。

その間に、同僚が貸してくれたコンサートDVDも見る→気に入ってすぐ自分でも購入。

現行で出演している番組、ラジオ放送もチェックし、雑誌などにも目を通し、毎週更新される新しいYouTubeチャンネルも見る。

延期になっていた直近のコンサートには間に合わなかったけど、気が付いたらファンクラブにも入会していて(元ジャニオタとしてはFCの重要性は理解しているつもり)、オンラインショップで写真やグッズも買い始めた。

ここんとこしばらく俳優沼のあたりにいたからすっかり忘れていたけど、そうだ、ジャニーズのファンってものすごく金と時間を費やすんだった、と思い出す。

若手俳優のファンの比じゃない。

しかも6人いる(いろいろ見ているうちに担当も決まっているのですが、SixTONESについては基本箱推しです)。

で、彼らの何にこんなにも惹かれているのかを考える。

彼らはヤンチャでわちゃわちゃしてて楽しそうにしょうもないホラを吹いたりしている。

余裕があって良い意味でいい加減で雑で口が悪くてお互いを大好きでそれを真面目に言わないで(たまに言ったりして)みんなでニヤニヤしている。

デビューしてからは2年目だけどJr.時代のキャリアは長いから、いいことも悪いこともよく知っているし、自分がなにをすべきかもよく分かっているし、年齢の割には酸いも甘いも噛み分けているから大人だし、大人だからこそ子供っぽく振る舞うことにも躊躇がない。

そしてステージに立ってパフォーマンスする姿は全員が完璧なプロフェッショナルなのに、その裏側を見せることも厭わない。

YouTubeで見せる姿が完全に素だとは思わないけど、垣間見える油断も愛おしくなる。

2人、3人に分かれて何かする場合、その組み合わせは誰でも変幻自在だし、どの組み合わせでも必ずなにかしらの化学変化を起こすし、どの組み合わせにも呼び名が付いている(半ば公式らしい)。

CDはまだ全部買い揃えてもいない新参者だけど、コンサートの様子やデジタルコンテンツ内で聴く楽曲は、所謂アイドルのアイドルソングではない高度な技巧を必要とするものだと分かる。

歌声もダンスもトークも個性が強い。

個性は強いけれど、それはお互いを殺すものではなく、お互いを生かすものになっているし、お互いがそれぞれほかのメンバーの個性を気に入っているようだし、時にそれを褒めたりイジり倒したりしている。

総じて言うと、SixTONESの魅力は、そのバランス感覚かもしれない。

周囲がよく見えている。

将来はどれくらい見えているのか分からないけれど、きっとみんなで同じものすごく遠くの山の頂上まで見据えている。


そして、このたび、新曲「マスカラ」のリリース。

SixTONESについて、新曲が出ますという一報から、リリースまでの経緯をちゃんと見るのは私は初めてだけど、情報を小出しにしていってちょっとした飢餓感を煽るとともに購入意欲をそそっていく様子は見事であり、本人たちに加えて事務所やレコード会社の戦略の妙も見て取れる(個人的には、これはレコード会社のSony Music Labels Inc.のやり方がとても上手いのでは、と思っている)。

過去作に比べて一段と大人っぽい曲調とテーマ、素人がカラオケで気軽に歌って楽しめそうもない高度なリズムとメロディに、前述したそれぞれの個性が光る歌声。

楽曲としてかなりクオリティが高い。

YouTubeで先行して出されているMVも、普段のバカみたいにおしゃべりな様子とは打って変わってクール&セクシーでいて情熱的。

そのギャップにやられるってやつ。

カップリングもそれぞれ雰囲気の違う意欲作。

「フィギュア」、その曲調とは相反するような歌詞が、切なくも力強い。

「Lost City」、ほぼ英語詞のミディアムチューンでマスカラより更に大人っぽい。

「Make Up」、これはもう、邦楽、J-POPと括っていいものかどうかも分からないような世界照準の曲。大好き。

これらを全て自分の中で消化してこなして作品という形にしている彼らは、ものすごいアーティストだと思う。

これが彼らの第何章なのかは分からないが、更なる進化の第一歩になることは間違いないだろうし、そう信じたい。

変わらないところはずっと変わらず、進化していくところはずっと進化していってほしい、そんな願望を形にしたような新曲「マスカラ」。

2億枚売れるらしいから(すっかりリトルストーンです)楽しみだな。

みんなもそのギャップにやられてみたらいい(余談だが、積極的にCDを手に取るファン以外にも聞いてほしいので、早くサブスク配信に入れてほしいと切に願う)。

代替不可であれよSixTONES。

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