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第2章 はじめに

 筆者が働き始めた2000年は超氷河期世代と呼ばれ不遇といわれる場面が多いが、本人はその時代しか生きていないので当たり前の状態に感じて過ごしてきた。しかし、年齢と経験を重ねると、時代の変化だけでなく自己認識の変化により、自分にとっての心地よい瞬間とそうでないときを理解し始めた。つまりそれは、生産性や経済成長の評価ではなく、「余白のある生き方」と「余白の無い生き方」と言い換えられる。

 20代は残業100時間超のハードワークを経験し、30代では結婚・出産・育児も経験し、いかに効率よく、時短と効率の限界への挑戦の日々はまさに余白なし時代であった。それでもどうにか乗り越えてきたのは周囲のサポートに恵まれ、頼ること、助けてと言うこと、過度に期待しないことを意識していたからかもしれない。そして、サポートに甘えるだけではなく、一つでも自分にできること、役に立つことがあれば自ら声をかけて取り組むことや、母が「声をかけてもらえるうちが花」とサポートしてくれる言葉に感謝し、可能な限り声掛け頂いたことに参加してきた。これは見方を変えれば周囲のサポートで余白を生み出し、その余白を自分の好きなことに使っていたのであり、余白が無いように見えて、あったのだと気づいた。ついで論の発露は自身の経験であり、ついでとは現状認識してサポートを求めて声を出す力(Help-seeking)、余白を生み出し独創力と想像力を広げる力(Creativity)、そしてついで行動による運の種まき(Serendipity)と経験から得られる「知」力(Empirical knowledge)を向上し、余韻が漂う(Afterglow)一連のスキルが上がり、自己が余白を認識し、他者についで行動を行うことで他者の余白を創出する循環の可能性を持つものである。

 本研究ではついでの概念を探究するにあたり、一人ひとりへのインタビューを行い、企業研修を見据えた人事担当者へのインタビューも行っている。

 本稿は、第3章から第6章は自身の経験と学術情報を元に、事業の背景・理想の社会・目的・対象者を明示する。第7章から10章にかけては本事業のアイデアやインタビューによるニーズの検証結果、また本事業をスケールするための実行ステップを具体化している。中でも第7章では価値の定義を「ついで要素」として定義し、新たな指標とする。第11章では事業主体と経営資源、第12章ではオリジナルロゴデザイン、第13章では収支計画、第14章ではリスクマネジメント、第15章ではその先の未来構想を描いている。

■その前とつづきを読む

第1章 エグゼクティブサマリ
https://note.com/miki_fujitani/n/nf92c620c3b8a

第3章 事業の背景
https://note.com/miki_fujitani/n/nc0c2d053b447

第4章 理想の社会
https://note.com/miki_fujitani/n/ne499dd3f2408

#創作大賞2024 #ビジネス部門


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