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いまから猫のはなしをします

3月末、息子が巣立った。その前日、ずっと息子のそばから離れない猫に
息子は何度も猫にスリスリしていた。その夜は、猫は息子の隣で一緒に布団に入って寝ていた。

思えば、我が家は猫たちが子育てをサポートしてくれた。

里親募集の広告をきっかけに、我が家にやってきた二匹。♀猫ちゃんは娘に♂猫くんは息子にとそれぞれに固い絆が育まれ、一緒に過ごした。猫たちは、私が感情的に子ども達を叱ってしまうと、すかさず子供達のそばに寄って仲裁してくれたし、こども達が友人関係で悩んでいた時も話を傾聴して聞くれていた。

一般的に、猫は躾が難しいとかマイペースだとかいわれるが、うちの二匹はものわかりが良すぎるし、なんなら先住猫が少し遅れて我が家にやってきた猫に躾をしてくれた。(ほんとのほんとですよ)  そして、家族にとっても気遣いがある猫たちだ。我が家の招き猫であり、猫様さまなのである。

娘が巣立った時には、♀猫ちゃんがあちこち探し回る姿に私も涙した。そして、食欲がなくなり体重が減った猫を心配した。(私は食事も摂れたし体重も減らなかった。)
そして、まさかの♂猫くんが、今度は食欲がない。まさかのまさかである。
高齢だし、病気じゃないかとも思い心配だ。

でも、もしかして二匹とも私の寂しい気持ちを察して、心配をかけているのではないか。(いや、そんなことはあるはずがないのだけれど) 
そして、ここ数日、帰宅したからずっと私の側に二匹がいる。

猫たちをみるたびに娘と息子を思い出す。

購入した本に「元気ならなんだっていい。」という歌があった。

私には、息子と娘と重なった。
もちろん、元気が出ない日もあっていいし、泣く日があったっていいし、無気力な日があったっていい。頑張りすぎなくていいのだよ。人間だもの。

母は、これからもしばらくは息子と猫の名前を間違えて呼ぶことでしょう。
息子につっこんでもらえないのが寂しいなぁ。

暮らしたら「猫ってこんな性格」と言えなくなるほど十猫十色

「いまから猫のはなしをします」仁尾智 猫短歌集より

元気ならなんだっていい 元気なら 猫を見るたびそう思ってる

「いまから猫のはなしをします」仁尾智 猫短歌集より