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Day30―大人のADHDと合併症の関係

今回は医学寄りトピックを。

https://doi.org/10.1186/s12888-017-1463-3

発達障害においてADHDはよく取り沙汰されるが、大人の場合でも発症率は2.5%と高い。本稿はそんなADHDと合併症の関係、治療の方針に関するレビューである。

ちなみに画像はADHDと全く関係がないわけではない。一時期話題になったハンドスピナーだが、ADHD児でも注意が途切れにくいことで業界でも有名である。

背景

ADHDは、Attention-deficit hyperactivity disorderの略で、多動と注意欠陥が中心にある障害である。軽度なものから重度なものまであり、 軽度な場合はちょっと片付けが苦手だったり物忘れがひどいというレベルである。医学的には、それらが「日常生活レベルにおいて支障をきたす」のであれば病気になる。
大人のADHD者は、カナダの調査では2.5%の割合で存在する。ADHD患者は合併症のある場合が多いため、この論文ではそのような研究のレビューを行った。留意点として、ADHDという診断は(DSM-5によると)12歳までに行うのが基本である。

方法と結論

1996年から2006年までの研究113をメタ分析した。
結果、ADHDとの併発が多いのは大うつ病、全般性不安障害、双極性障害、薬物障害である。パーソナリティ障害とも若干併発が見られた。
ADHD者のうちで大うつ病の割合は18.6%から53.3%で、双極性障害の割合は9.5%から21.2%であった。ADHD者が不安症になるリスクは健常者の2倍であった。
診断の際は以下の3つを質問するとよい。
A) 注意や注意散漫に関する継続した問題があるか
B) その問題は10年、20年にわたって起きているか
C) もしあなたが子どものときに私を見たら、どのように見えるか

所感

ADHDに限らず、発達障害は他の症状と合併する場合が多い。一部は適切なケアによって防止できるので(薬物障害など)、できる限りそういったリスクを減らすことが大事たと思われる。

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