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Day35ー自閉症スペクトラムと統合失調症の重複DNAについて

今回は医学的トピックです。

https://doi.org/10.1016/j.celrep.2018.08.022

自閉症スペクトラム(ASD)と統合失調症(SCZ)のどちらかに関係する、コピー数多型(CNV)のゲノム領域について日本人を対象に調べた。結果、多くの重複したCNVが発見された。

背景

CNVとは、ゲノム領域のうち個々人によって数が異なる場所のことである。今回の研究のように、特定の病気に関係するCNVというのが一定数存在している。
ASDの特徴は社会的コミュニケーションの障害、SCZの特徴は過度な妄想であり、両者はかなり異なる症状を呈する。しかしどちらも発達障害にカテゴライズされ、脳のネットワーク機能不全が背景にあることから、共通のゲノム領域があることはかなり以前から知られている。

方法と結果

1108人のASD、2458人のSCZ、2095人のコントロール群について、ASD、SCZのどちらかに関与しているとされているCNVを調べた。
結果、約8%のCNVで有意な重複が見られた。この結果の中には、12個の新しいCNVが見られた。これらの中にはシナプス形成において重要な役割を果たすものや、レセプターに関するものが多く見られた。

所感

生物学的な記事はまだ知識が足りず、雑なまとめ方になってしまいました。今後も主にASD関連でこのようなトピックも追っていきたいと思います。
率直な感想として、このような大規模調査はやはりすごいなと。新しい遺伝子が次々と発見されることは、それだけ多くの対処法が見つかるということでもあり喜ばしいです。しかし、(これは論文の範囲を逸脱していますが)、社会的な病理の定義とこのような生物学的病理の定義のギャップを常に埋める必要があると常々思ってしまいます。

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