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Day38―この小さな世界

統計学のエッセイ的論文

Travers, J., & Milgram, S. (1967). The small world problem. Phychology Today, 1(1), 61-67.

「世間は狭い」というのはcliche(決まり文句)であるが、どの程度狭いのか体系的に示した論文。

背景

知り合いの知り合いが実は知り合いだった、ということはこの世界で日常茶飯事である。
そのことを利用しているのか、Facebookが「知り合いかも」に出してくる人は大抵知り合いだが、長い間会っていないためお互い気まずいという微妙なケースが多い気がする。

では、全人類の友達ネットワークをグラフのように繋いだとして、任意の2人が繋がるまでには平均して何人を経由する必要があるのだろうか。
実はアメリカにおいてこのような研究がかなり以前に行われていた。

研究

MITのIthiel de Sola Pool教授らは、数人に対してここ100日の間に継続してコンタクトをとった人数を訪ねた。その結果、1人あたり約500人とつながっていることがわかった。このことを使って、アメリカ人約2億人が同じように繋がっていると仮定すると、任意の2人が知り合いである確率は20000分の1であった。しかし、2人まで経由すれば(つまり知り合いの知り合いの知り合い)その確率は2分の1までに減った。しかしこれは全員が均等に繋がっていると仮定しており、現実にはそのようなことはありえない。
著者らの研究では、ある人からある人までメールが届くよう、全員に拡散してもらう実験を実施した。サンプルは2億人のアメリカ人からランダムに抽出した。この実験の目的は、そのメールが何人を経由して目的の人物までたどり着くか測ることである。その結果、平均して6人を経由すれば目的の人物までたどり着くことがわかった。驚くべきことに、10人を経由すればすべての人物に行き渡った。

所感

50年も前に、このような人間同士のつながりに関してここまでわかっていたというのがすごい。Facebookなどがこの巨大な人間のウェブから何を見出すのか興味深い。
少し思うのは、そのようなデータを1億人から得ることはそこまで意味がないのではないかということ。何かを作るのに、せいぜい100万サンプルあれば充分で、それ以上多くても新しいことがわかるかは微妙な気がする。

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