見出し画像

Day41―自撮り時代の到来:インスタグラムでは誰が、いつ、どのように自撮りをアップするのか

今回はメディア社会学的な、ビックデータ分析に関するトピック。
タイトルは論文の直訳です。

Souza, F., de Las Casas, D., Flores, V., Youn, S., Cha, M., Quercia, D., & Almeida, V. (2015, November). Dawn of the selfie era: The whos, wheres, and hows of selfies on Instagram. In Proceedings of the 2015 ACM on conference on online social networks (pp. 221-231). ACM.

1,000万枚近くのインスタグラム写真を分析することで、自撮り写真の傾向を多角的に分析。

背景と仮説

インスタグラムなど、テキストではなく画像によるメディアは近年拡大の一途を辿る。本稿では、2つの仮設について1000万枚の投稿から分析する。
ところで「自撮り」のことを英語ではselfieと言う。「自撮り棒」のことをセルカ棒とも言うのは、このことに由来する。
1.誰が、どこで自撮りをしているか。…年代、性別、地域、国などによって分類
2.どのように自撮りをしているか。…他の画像と比べ、「いいね!」の獲得度はどうか。どのくらい文化差があるのか。

分析と考察

論文では、冒頭で簡単にまとめている。それを順に示すと、
1.2012年から2014年までの3年間で、自撮り数は900倍に膨れ上がった。
2.自撮りの「いいね!」獲得率は、他のメディアに比べて1.1-3.2倍高い。
3.自撮りのアップ率は多くの文化圏で女性が多数を占めるが、ナイジェリアとエジプトでは男性の方が多い。
4.文化差は非常に複雑で、一概には言いにくい。しかし、ハッシュタグの使用度はプライバシー意識だけでなく、よりニッチなコミュニティの強さが関係している。
5.自撮りをアップする年齢、性別は文化圏ごとにあまり変わらないことから、自撮りがより日常的な習慣になっていることが示唆される。

[以下、個人的に興味深かった結果を述べる]
・年齢について見てみると、女性に比べて男性の方が平均年齢が高い
・韓国での自撮り(korean selca)の投稿数が爆発的に増えている
・Instagramの出現により、文化ごとに異なっていた自撮りのあり方が統一されつつある(と筆者が考えている)

所感

前にも述べたが、もし博士課程に進むことがあればこういう研究をしてみたい。
「マクドナルド化する社会」はあまりにも有名な言説だが、Instagramによって自撮り文化が世界中で統一されたことは間違いないと思う。
これを超えるには、スマホの次に流行るデバイスを作る必要があると思う。自撮り棒が必要だったり、自撮りはまだまだ制約の大きい手段であることからその流れは確実に来ると考える。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?