見出し画像

この土日の話、そして「他者、入ってこれたのだなぁ」と感じた話

最近いろいろなことが一気に起きすぎてよくわからないことになっている。

新しい友人が何人かできた。
その友人たちと埼玉の山を登ることになって、気づいたらこの前の土曜日、本当に登っていた。

山頂でそれぞれがにぎってきたおにぎりを交換しあった。
レジャーシートの上にはタッパーに入ったたまごやきやウインナー、塩むすびに合うものをと持ってきてくれた佃煮が並べられた。

そのときに友人が持ち運べるバーナーを持参してくれて即席のお味噌汁をつくってくれたり、もうひとりの友人は豆をひいてコーヒーを入れてくれた。(苦みがおいしい豆だった)
山の上で温かいものをのめることは知ってたけど、本当の意味では知らなかったなぁと思う。


山に登ったあとはロープウェイにも乗ったし、知らないひとたちとひとつ舟の上、川をくだったりもした。

その日の夜は東京に戻ってきて、町の銭湯に行った。
スーパー銭湯じゃない銭湯に来るのはこれがはじめてだった。
山登りでかいた汗を洗い流す。
リンスインシャンプーは髪の毛がごわごわしたけれど、それもひっくるめて“銭湯“という気がして「そうか、そうか、すきだなぁ」と思った。

お風呂上がりのその足で、生まれてはじめて日高屋に入った。
関東版餃子の王将みたいだなぁ、おいしいなぁと皿の上の餃子を食べ進める。
食べ終わるともう眠気がやってきて、ぜんぶがしあわせになる。
お酒を飲んでいないのに、帰り道はすきなうたをすきなようにうたいながら帰った。

次の日は山のぼりに行った友人と、彼ら彼女らの友人たちと縁日に行くことになっていた。
私は浴衣を持っていなかったから、友人が気を利かせて下町にある浴衣やさんに朝から連れて行ってくれた。

彼女は会って間もない人間の趣味嗜好を汲み取ろうとすることができる子で、
「〇〇ちゃんのすきなのはこういうのじゃない?」と私のすきを言ってくれるし、
「でもこれも似合うとおもうな」とじぶんのすきも言ってくれた。
それがうれしかった。

思いのほか浴衣をはやく選び終えてすこし時間があったから、
彼女の地元を一緒にあるいたりした。
彼女のお母さまとお昼ごはんを一緒に食べさせてもらって、それもまた楽しかった。

そのあとは縁日の行われる町に移動して、友人たちと合流した。
この町に住む友人のお家にあがらせてもらう。
静かで、でもいままでたくさんの人が生活してきた、永くて永い時間に満ちている感じがする、そんなお家だった。

庭にはあじさいが咲いていた。
友人に浴衣を着つけてもらう。暑い。暑いけどうきうきする。

着つけてもらったあと、カメラを生業にしている友人におのおの写真を撮ってもらった。
「思い出だね」という言葉に対して、咄嗟に思い出にしたくないと思った。

ぽつぽつと友人たちが集まっていく、みんなが浴衣をまとい終え、縁日にくりだす。

道の両端にずらっと屋台が並んでいる。
目移りしながら進む。
すきなペースで歩いて、すきなものを選ぶ。大人数だからシェアだってできる。
あと大人だからビールにやきとりだってできる。あぁ。
凍らせたみかんの缶詰を片手に友人がやってくる。
小麦色の肌に白い浴衣がよく似合っているからなんべんでも見たくなる。

途中の境内でお参りをした。お参りをしたあとに鐘をならし忘れたことに気づいた。
でも名前も住所も生年月日も心のなかで強めに唱えたから、たぶん大丈夫だと思う。

お家に戻り、ひとやすみをして花火をする。
花火を見ながら、ここは無理がない世界だなぁと思う。
この世界にいると、じわじわと満ちていく感じがある。

わたしは時々何も持ってこなかった22年間のことを思って、
どうしようもない気持ちになる。

22年目の3月に価値観のすべてがひっくり返ったとき、ようやく生まれ始めた感があった。
当初は体の中がとてもぎらぎらしていて、何かがいつも腹から飛び出てきそうだった。
本当に野生の獣を飼っている気だってしていた。(本当に。)
渇いて渇いて仕方がなかったから、振れ幅の大きいものを好んだ。
振れ幅を大きくしてくれるようなものを選んだ。

でも、このじわじわと満ちていく感じが最近のじぶんを占めている。
じぶんどうなってしまうんだろうと思う。
不安だけど、不安だけじゃなくて戸惑う。
じぶんどうなってしまうんだろうよりも、
友人たちのようにすきな人たちを喜ばせたりしたいの方が頭をもたげてきているから戸惑う。

じぶんひとりの命だったところに、他者が入ってきている。
こんなふうに他者、入ってこれたんだなぁ。
いろいろなことが起きてよくわからないなかで、まだふわっとだけでもそう思う。

花火を終えたころ、ホールケーキが運ばれてきた。
ちょうど次の日が誕生日の友人(山の上でコーヒーをいれてくれた)に向けたサプライズの、秘密のケーキだった。
照れくささとうれしさでないまぜの笑顔がいい。

Googleフォトにみんながあげる写真をみて、
次はミラーレス一眼を持っていこうと思った。フィルムカメラも、チェキも持っていく。
荷物は重くなるけど、すきなひとたちを撮りたい気持ちがある。
よくわからないなかで、これはけっこう強く思う。

#日記 #エッセイ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?