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道東新古細工#03/硫黄山と君の名は

開けて7日。TAXIのピックアップは朝10時にしてもらった。そのまま17時までは移動の足運転手さんにお任せである。
7時間あるから予定は色々組める・・一つはママの趣味。二つ農協の直販所を回ること。これは事前に「ほくれん」にアポして何処行くかは決めといた。それで、電話して宅急便で送れるかも確認しといた。午前中は美幌町の農協・直販所。午後は大空町の農協・直販所である。実はオホーツク農協にしようかとも迷ったんだが、魚介類はいらない!のママの一言で、午後は大空町になった。もう一つは僕の趣味。美幌峠に行くこと。それと「硫黄山」です。
屈斜路湖へ来たらこの二つは行ってみたかったんだ。

理由のひとつは、菊田一夫先生の「君の名は」松竹・岸恵子/佐田啓二版第二部の舞台が美幌町だったから。菊田先生は真知子をこれでもかこれでもかと不幸な事件に遭わせるんだけど、その一つがこの町で起きるんです。映画の中で失恋して摩周湖へ投身自殺してしまうアイヌの娘役は北原三枝さん。後に日活へ移籍し、石原裕次郎の奥方になる人です。岸さんも美人だけど、北原さんも時代を超越した美人です。
やっぱりあの時代の日本映画はいいなぁ~
・・映画の話をするとキリないから、これで終わり。

もうひとつの理由の「硫黄山」なんだけど、ここは極めて良質な硫黄を産出した鉱山があったとこなんだ。原材料は前職の僕の商いのタネだったからね(^o^;;その血が騒ぐのです。
道東は、松前藩時代にはアイヌとの交易がメインだった。明治に入って東北の冷害飢饉を避けて相当数の入植者が入ってからは農業と酪農が伸びた地域だ。今でも海岸線を離れると、人の営みは農と酪になる地域です。
でもね。もうひとつ、この辺りは火山が連座する地域だからね、鉱山資源が豊富なんです。松前藩時代には殆ど注目されなかったんだけど、硫黄鉱産出地としては優秀なんです。
硫黄はね。古来から日本の貿易輸出品として、日宋貿易時代から採掘されていた。これって意外に知られていない。日本列島は、ユーラシア・北米・太平洋・フィリピン海の4プレートが衝突する最前線にあるから、火山活動で硫黄が豊富に産出する地域だ。貿易は元代/明代と、盛んにおこなわれていた。・・ここに、いわゆる「硫黄ロード」ともいうべきがあって、日本で産出した硫黄は中原に輩出した王朝から西へ西へと運ばれていた。ちょうどその流れ方は、銀のそれとよく似ているのは余談。

当時の主たる産地は鹿児島三島村の硫黄島(薩摩硫黄島)それと大分あたりだったんだけど、明代に入ると東シナ海に浮かぶ小さな火山島・硫黄鳥が発見される。琉球三山王権(中山・山北・山南)時代だ。三山王は進貢として此の島の硫黄を多く用いた。これは琉球三山王権が琉球王朝に統一されたのちも続いている。
明朝・清朝と、中国サイドが琉球列島に強く関心を持ち続けたのは硫黄鉱山資源として同地が極めて優秀だったからだ。
んんん。長い前振りだったなあ、というわけで「硫黄はとても儲かる鉱物資源」だったんです。

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました