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私設NYCサービスセンター

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うちがNYCに住んでいたという話をすると、よくお客様に「今度、遊びに行くんです。どこか良い所を紹介してください」と言われる。 それで、嫁さんお奨めのレストランを代わりに予約してあげたり、ホテルの手配のお手伝いをしたりすることがある。

それと。うちのムスメたちはNYCに住んでいるので、ムスメたちにウチの店でお会いになったことかある方は、ムスメたちが向こうで一緒に食事をさせていただいたりもしている。 まあ。NYCのサービスセンターみたいなもンだね。

それで、お帰りになった方からよく「セントラルパークへ行ってきました。」と言うお話を伺うことが有る。
そうですか!どの辺りを見てきました?」
「ミキパパがいつも言ってるように、プラザホテルの前から入って、ベセダ・テラスの噴水のところまでまで歩いてみました。ザ・モールの並木が本当に綺麗で、NYCの真ん中にあんな静謐な散歩道があるなんて、びっくりしました。ベセダ・テラスの噴水も、ボートハウス・カフェのある湖も、まるで風物画のように美しかったです。」
「セントラルパーク動物園には、寄りました?」
「はい。帰り道に寄ってみました。小さいけれど瀟洒な動物園ですね。ついでにズー・カフェで軽い食事をしてパートタイムなニューヨーカーを満喫してきました。」

こんなお話を聞くのが一番嬉しい。
NYCの一番素敵な楽しみ方はニューヨーカーと同じ視線に立つことだと思う。僕はいつもそいつを提案している。
それで。。もしNYCが大好きになって、また行きたい!と思った方に、2回目のセントラルパークの楽しみ方として、ここでは、チョイと上いくテクニック。レンタル自転車の利用を提案したいと思う。

サイクリングでグルーッとセントラルパークを回ってみる。これって凄いニューヨーカーらしい楽しみ方でしょ?ぜひトライしてみてほしい。
貸し自転車屋はザ・レイクの右端の畔にあるボートハウス・カフェ(loeb Boathouse/74th nr East Dr.,212-517-2233)の裏手に有る。利用する際にクレジットカードを持っていないと、保証金として100ドル払わなければならない。まあ、現金で払っても後で返してくれるんだけれど。ここはやっぱりスマートにカードを利用したほうが良いと思うよ。

ここで自転車を借りたら、ゆっくりとセントラル・パークをサイクリングしてみよう。お勧めコースはイースト・ドライブウェイをゆっくりと北上していくというもの。アップダウンが結構激しいので相当な運動量になるから、のんびりとマイペースで走ろう。

貸し自転車屋を出てすぐメトロポリタン美術館の横、クレオパトラのオベリスクの間を通りすぎると、左手にセントラルパークで一番大きな貯水池、レゼボワールが見えてきくる。この湖畔はニューヨーカーたちの定番ジョギング・コースになっており、いつでもジョガーたちを見かける。この池の手前をカットして左に入ってウエスト・ドライブウェイに出てもOKでだけど、とりあえずここではそのまま直進してみよう。しばらくするとハーレム・ミアと呼ばれる池にぶつかる。ここはマンハッタンの釣り弘法達の隠れ里で、湖畔にあるチャールズ・ディナ・ディスカバリーセンターでは釣り竿も貸してくれる。本当にセントラルパークというのはニューヨーカーたちのための公園なんだ。

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道なりに走っていくと、いつの間にかイースト・ドライブウェイは南下するウエスト・ドライブウェイに変わってしまう。だからそのまま、ひたすらペダルを漕ぎ続ければお帰りモードに切り替わる訳だ。小山のようなグレート・ヒルの横を越えて、右側がラビーンの小径。ここは本当に美しい人造の渓谷である。小さな滝が有ったり、緑豊かで静かな、まるで郊外に出たかと錯覚してしまうほど静謐な処だ。自転車を降りて押しながら少し散歩してみると良いかも知れない。

そしてそのまま南下し続けると、また貯水池の処へ戻ってくる。左手にグレート・ローンを見ながらデラコルテ・シアターの横を通ってザ・レイクの西端に出ると、すぐそこにストロベリー・フィールズの広場がある。丁度72丁目のザ・ダコタ・アパートの前だ。ジョン・レノンは息子のショーンと共にこの場所でよく遊んでいたという話を聞いたことがある。おそらくオノ・ヨーコは、それを偲んで此処にこのモニュメントを作ったんでしょうな。

この愛の記念碑を詣でた後は、湖を回り込むように東へ走りベセダ・ステラから、ボートハウス・カフェに帰ってきて、自転車を返却しよう。この間およそ3時間くらい。充分堪能できるセントラル・パークの楽しみ方である。

それと、この自転車を貸してくれるローブ・ボートハウスだけど、本体はその名の通り貸しボート屋である。こちらも中々楽しい。ただし、当然冬場は営業していない。冬には冬の、夏には夏の楽しさがあるセントラルパークだけれど、実のところ真冬のセントラルパークは結構雪深い。昼光を反射して眩しいウルマン・リンクや凍てついたベセダテラスの噴水など、本当に美しいんけれども、たどり着くまでの歩道はきっちりと雪に埋もれている。もちろん観光客が雪靴なんて持っているわけないから、とんでもない大騒ぎになってしまう。ここで、ついでだからお勧めしてしまいます。近くのディスカウント・ショップで安価なスノー・ブーツをお買いになると宜しい。こいつは使い捨てにしても良し。セントラル・パークの雪を踏んだブーツとしてお土産に持って帰っても良し、なかなか楽しいモンなのだ。

ずいぶん前、20年以上前。大雪の後の良く晴れた日曜日。子供たちがまだ小さかった頃(可愛かった頃とは言わない・・言えない)。彼女たちと動物園のところからザ・モールへ出てベセダ・テラスへ向かって散歩したことがある。ザ・モールは綺麗に雪掻きがしてあって歩けるようになっていていた。もちろん子供たちは、そんなことお構いなしに積雪の中を飛んで歩いていたが、途中、お姉ちゃんが雪の中にうずくまるリスを見つけると、二人そろって僕のところへ急いで戻ってきて報告をした。
「リスさん、寒くないのかなぁ。」
「死んじゃわないのかなぁ。」彼女たちはエラい心配をしていた。
見ると、極寒に凍死寸前のリスだった。でも僕は「リスさんは野性の生き物だからね。お前たちが考えるより強いんだよ。」と話をした。
「ふーん、そうなんだぁ。」と言いつつも、彼女たちは納得しきれない様子だった。
ザ・モールの両側に並ぶ木製のベンチの上に面白可笑く積もる雪の山よりも、凍りついたザ・レイクよりも、樹氷となった木々の輝きよりも、彼女たちにはそのうずくまったリスの方が強い印象だったようだ。

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無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました