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城壁の外を散策する03/サンテミリオン村歩き#23

Av. de Verdunを行くと円形の五差路にぶつかる。D122とD243が通っている交差点だ。北側に33-Gironde 304lineのバス停Bourgが有る。
「ここのバス停で一度だけ降りたこと有るわね」
「ん。いつものボルドーバス乗り場からだ。リブリヌの抜けて1時間20分くらいかかった」
「普通の市バスだったから、村の間を抜けて葡萄畑を抜けて。楽しかったわ」
「そうだな。サンテミリオン行のバスは駅前と此処と二つある。村を抜けていくバス小旅行は良いもんだ」
「でも、一度だけよね。デジョンからボーヌのほうは何回も乗ったのに」
「ん。33-Gironde 304lineは不定期なんだよ。回数も少ない。旅行者が利用するには中々壁が高い路線だ。村まで近くて便利なんだけどな。どちらかと言うと地元の人の脚なのかもしれない」
「なるほどねぇ」

僕らはD122の村へ戻る道に入った。振り返るとLes Grandes Muraillesの壁面跡が見える。
「城壁沿って外側に有ったのが聖フランシスコ修道院だった。さっき見たウルスリン修道院跡Couvent des Ursuline
は壁が出来てから作られたが、ここは城壁が作られる前に建立されている。そのためにアンジュー帝国とフランス王国の戦火に巻き込まれて焼失したが、礎石類の持ち出しはされなかった」

「修道院跡だったかしら?城壁の礎石は持ち出されたのに・・」
「そうだな、畏敬は保たれていたんだろうな。今これから向かうカーディナル宮殿跡Palais Cardinalは城壁の中に有った資産家の邸宅の跡だ。グアデ通りからアンバッス・カルディラル通りに入ったところにある」
Palais Cardinalはグアデ通りからは見えない。アンバッス・カルディラル通りに入るとすぐに左側に見える。奥深く広がっている建物だ。
「12世紀末から13 世紀初頭に建てられたと云われている。いまはカーディナル宮殿跡Palais Cardinalと呼ばれるが別にCardinalの宮殿ではない。資産家の邸宅だ。おそらくワインビジネスで財を成したんだろうな。
バランスのとれた間口、多くの窓、今でも精緻な装飾が施された石造の邸宅が当時の栄華を示しているかもしれない。
世界大戦の時には、周囲を防御壁で囲ったそうだ。ナチスの空爆が此処まで及ぶことを恐れたんだろうな。厳重な防御は今でもその一部が残っている。1階のドアあたりがそうだ。
・・みてごらん」
僕は正面を入ったすぐ横にある絵を指さした。
「これは19世紀末の様子だ。グアデ通りのところに門があるだろ?これもこの地区への侵入者を管理するために有ったんだ。今はない。通りが拡張されたときに取り壊されたそうだ」
一周した後、グアデ通りへ出た。そして坂を下った。
「坂を登ったり下りたり・・くたびれたわ」
「少し下にla Bonheur(20 Rue Guadet, 33330 Saint-Émilion)がある。そこへ寄ろう」
http://www.labonheur.fr/
僕らはハンバーガーとコーヒーを頼んだ。
「アメリカンしてて、うれしいでしょ?スタバ無いし」嫁さんが僕を見ながら言った。

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました