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夫婦で歩くシャンパニュー歴史散歩1-3-1/Cave 地下採石場跡

https://www.youtube.com/watch?v=j-sisxxK1iY

ユネスコ世界遺産委員会がシャンパーニュの丘陵「メゾンとカーヴCoteaux, Maisons et Caves de Champagne」として登録したのは第39回2015年のときだった。7月の初めだったので、よく憶えている。僕らは(家内と)そのnewsをエペルネー村の小さなこじんまりとしたシャンブルドット(民宿)で観ていた。大喜びしたオーナーがランチの時に、アンリオのミレジムを出してくれた。
「Maisons et Caves de Champagneって、ワインの貯蔵庫のことでしょ?」
「ん。メゾンの資産価値というのは、カーヴとカーヴの上に建った屋敷のことを言うのさ」
「畑は?」
「葡萄は買える。実際問題、買ってるところも多い。重要なのはカーヴを持っているか否かだ。ランスの側にあるサン=ニケーズの丘Colline Saint-Nicaiseの周辺には約370の地下採石場があるそうだ。著名なメゾンはそのカーヴの上に有る」
「テタンジェとか・・ルイナールとか、あのへんのことね」
「ん。ヴーヴ クリコやポメリー、シャルル エドシック、マルテルもそうだ。・・僕は、そんな石を刳り貫いた地下回廊を城の中に持つドメーヌを『サン=ニケーズの奇岩 城』と呼びたいと思ってる」
「奇岩城・・素敵な言葉ね」
「モーリス・ルブランのL'Aiguille creuseだよ。アサヒグラフの編集長をされていた保篠龍緒さんの和訳だ。エペルネーにあるシャンパーニュ大通り下にも110kmの地下採石場があるんだよ」
「あ・モエ・シャンドンに行ったときに入ったあれね」
「そうだ。
地下採石場はね、クレイエールCRAYERESと呼ばれている。地下採石場はローマ時代からたくさん作られた。ランスはその文化の延長線上にある。
ランスの街が大きく育ち始めたころ・・9~11世紀のころ、街に沢山の石造建築が建てられたんだが、その石材を切り出し場所がそこだ」
「教会とか?」
「ああ、石は重要な資産であり象徴だ。しかし遠くから運ぶと膨大なお金がかかる。だから近くに採石場があると助かる。パリは北のモンマルトルの丘が長い間石切り場だった。南側に有ったカタコンベcatacombeってあったろ?あれも元は石切り場だ」
「カタコンベって、地下墓地でしょ。さやかと行ったわ」
「大きな旧い街は地下採石場が傍にあるところが多いんだよ。ランスのクレイエールCRAYERESは全長60kmあまりあると言われている」


無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました