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ビニールで 出来たコウモリ 木偶の坊


僕は、傘は殆ど差さない。持って歩くと絶対にどっかへ置いてきちゃうしね。宜しくない。
でも、驟雨とも云える降りだと、出かけようと思って店先に立った時に、やはり少しは逡巡するのです。
その隙間に嫁さんが声をかけてくれた。
「傘、持ってきなさいよ。忘れてきてもいいようにビニール傘にしてね」
「傘・・傘ねぇ。やっぱし、いるかなぁ
しかしこう雨が続くと、土方もコウモリもオマンマの食い上げだな」
「ウチだって似たり寄ったりよ。オマンマの食い上げよ。」と言いながらビニール傘を手渡してくけた。
「ン。ありがと
そういや、コウモリ見かけなくなったな。コウモリさんチ、呆れかえってどっか引っ越しちまったかなあ」「なによ、コウモリさんチって。」
「コウモリさんだって、女房子供もいるだろうし。三世代同居なら爺婆もいるはずだ。」
そう言いながら軒先から重い空に向かって手を出してみた。
ムカシは、夕闇に電信柱で紡がれた黒い電線を掠めて黒い影が・・コウモリが飛んでたもンだ。
ムカシったって、そんな昔じゃない。
仕方なく、半透明のビニール傘を広げてみた。
「ビニールで 出来たコウモリ 木偶の坊 ってやつだな・・無様なモチモノだ。
せめて英国紳士のようにステッキ代りに見えりゃいいんだがなあ」そうボソボソ言ったら
「英国紳士はTシャツで、近所ウロウロ歩かないわよ」と言い返された。
そりゃそうだ

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました