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木挽町新古細工#07/仕入れが要らない雀焼・群青

ウチの店の前はちょいと広い歩道なんだ。これが朝はスズメの運動場になってる。チュンチュン、大合唱をやってる。
こいつらに昨日のバケットの固くなった奴を千切って投げてやると、先を争って食べる。餌を上げながら嫁さんに言った。
「どうもスズメたち、最近パンが飽きたらしいな?」
嫁さんが開店の支度を忙しくしながらも返事した。...
「どうして?食べなくなったの?」
「いや、食べてるんだけどな。どうやらタマには中華が良いらしい。」
「どうして?」
「食べながら、チュンチュン(中々)言ってる。中華が良いってるンだ。まったく贅沢なヤツラだ。」
で。無心についばむスズメたちをみて思った。
「このバケットにだな。前の夜にワインを浸みさせておいてみるかな。」
「どうして?」
「ワインを浸みさせたバケットを食べたら、スズメたちは酔っぱらっちまって動けなくなるだろ?
動けなくなったら、それをツカんでデカいザルかなんかで集めるんだ。そんでスズメ焼きにする。
店の名前は変えよう。グランブルーはやめよう。"雀焼・群青"がいい。
仕入れはタダだしな。こりゃ儲かるぞ。
店の外に"獲りたて スズメ あり〼"ってノレンだしてぇ」
「いいから早く支度の手伝いしなさいよ! いつまでも妄想してないで!」
んんんん。もっと妄想したい。

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました