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マンハッタン/ブルックリン橋

ブルックリン橋が一番美しく見えるポイントは、何と言ってもブルックリン・ハイツのプロムナードだろう。イーストリバーを挟んだ向こう側、ブルックリンク区である。
ブルックリン橋建設のドラマは、わりとそこいら中で書いたから、あえてここでは書かないけれど、ローブリング親子を中核とするその人間模様は、半端な小説よりも感動的なお話だ。目の前にその巨大な雄姿を見ていると、その建設のドラマが一世紀以上の時の壁を超えてリアルに幻視できるような気がしてならない。
NYcって素敵な街だね。
さて。ブルックリン・ハイツから見たブルックリン橋のことだけど。こっちの方は目の前にデン!と摩天楼の勇景が迫っていて、そのインパクトが強すぎるから、行ったことの有る方も「あれぇ?あそこからブルックリン橋って、見えたっけぇ?」と思われるかもしれない。ブルックリン・ハイツのプロムナードのハイライトは、何といってもやっぱりイーストリバーを挟んだ目の前に広がる摩天楼の峰々だもンね。実は同じ場所から左の奥に自由の女神も見えるんだけど、こっちのほうも皆さん見逃してしまうようだ。それほどあの目の前に広がる摩天楼の群れの存在感は凄いということである。
最寄りの地下鉄を明記する。やはり一番便利なのは2,3のClark St. で、ここから進行方向と反対側に向かって歩くと数分でブルックリン・ハイツのプロムナードへ到着する。ここは眼下にイーストリバー東岸の倉庫地帯が広がる高台で、瀟洒に整備された遊歩道である。先ずはベンチに座って暫し摩天楼の絶景に感動しよう。
僕はいつもブルックリン・ハイツのプロムナードは、滞紐中に2回は行ってみなさいとお薦めしている。夕闇迫るころ一度。天気の良い午後に一度。特に夕闇に浮かぶ摩天楼のイルミネーションは本当に美しい。息を呑むほど!というのは本当にこういうことを言うんだろうなと思うほどの景観である。ただし土日はだめ。何しろ大抵の会社が休みだからね、せっかくの摩天楼も片っ端に窓の光が消えていて、その魅力は半減してしまう。ぜひ平日の天気のよい日の夕方、出かけてみてください。プロムナードのベンチに座って、ゆっくりと自由の女神の向こうに沈む夕陽を見ていると、NYCへ来て良かったなぁ!って、実感すると思うよ。そして、もし気が向いたらそのままブルックリン橋の麓までプロムナードから坂を降りて見てもよい。NYCで一番眺めのよいレストランとして有名な「リバー・カフェ」は此処にあるのだ。
相変わらず「リバー・カフェ」は盛況で予約無しで出かけるのは、ちとしんどい。しかしカフェテラスになっているウェイティング・バーで飲み物を楽しむだけくらいだったら、充分席は用意してもらえると思うので、その旨受付で伝えて席を確保してもらうと宜しい。ここから見る夕景の摩天楼も、まったく壮絶と言ってよい美しさである。
もちろん、午後の燦々と日光を浴びた摩天楼も、猛烈な存在感を示す。明るい陽射しの下にデンと腰を据える摩天楼の峰々は、きわめて重量感溢れる印象で、その無言の圧力に貴女は驚嘆されるに違いない。こんなもンを、こんなトコに作ってしまう人間って生き物、本当に凄いなあ!僕は、ブルックリン・ハイツのプロムナードに行く度にそう思っちまうね。
日曜日は時折このプロムナードに近在のアーティストが露店を出す。これが面白い。写真だったり、本格的な油絵だったり、クラフト・ワークだったり、とれたての新鮮なアートが作り手から直接手渡される。これって素敵でしょ?余談だけど、NYcで仕事をしている無名のアーティストって総じて女性のほうが感性豊かな気がするんだけど。どうだろうか?きっとこの街でさえ、女性がクリエーターとして生きていくには、男性よりも多くの努力と才能を必要とするのかもしれないね。
平日は地元のジョガーたちが行き来する遊歩道である。欧米からの観光客も多くて(ブルックリン側は危険であるという宣伝が行き届いているから、日本人観光客は殆ど来ないが)そこいら中で各国語の感嘆の言葉が上がり、シャッターの音が飛び交う。
暖かい天気のよい日は、このままブルックリン橋の遊歩道を散策しに出かけよう。ブルックリン橋に向かって北へ散策すると公園の端にぶつかるから、そのままいちど公園から出て、下りの歩道を行こう。坂を下り終わるとブルックリン橋の側面へ到着する。見上げるばかりの巨大な建造物である。目の前に積み上げられたその膨大な質量の石造の橋桁を見ると、きっと貴女は驚嘆するに違いない。
橋にぶつかったら、そのまま右手へ向かって橋沿いに歩く。少し行くと、低くなった橋桁のひとつに石壁をくり抜いたような階段があるから、これを昇ると橋の上に出られる。
ちょいと不気味な階段だけど大丈夫。ちゃんと上に繋がっていますよ。
ブルックリン橋の遊歩道は、学校の体育館のような板張りである。鋼鉄製のロープが無数に幾何学的に交差する中央を走っている。ジョギングする人。自転車で走る人。ゆっくりと散歩する人。さまざまな人が行き交う。しばらく歩くと、その交錯するスチールロープの中に入り込む。ニューヨーカーはこれを「スチール・ロープ」と呼んでいるのだが、風の強い日に、この交錯する森の中を歩くと、空中から不気味な胴鳴りが響いてきて「なるほどスチール・ハープだ。」と納得すると思うね。
ブルックリン橋を徒歩で行くと、イーストリバーの中央辺りに達するには10分くらいは充分かかる。渡りきるには20分くらいだろうか。橋上のベスト写真ポイントはマンハッタン寄りの橋桁のところ。ここから見える摩天楼の峰々は本当に見事なものだ。ファインダーを覗いてみると、スチールハープの向こう側に捕らえられた鳥のようにNEW WTCが見える。少し視線を落とすと、すぐそこに工事中のフルトンマーケット跡も見える。記念写真は、この橋桁のところが良い。ブルックリン側を向いて、橋上の景観が写り込むようにして撮っても面白いのではないだろうか。
橋の途中に幾つも設置されたベンチに腰掛けながら、暖かなNYCの午後をエンジョイしよう。

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無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました