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猫田による猫田のための、ストロベリーチョコレート。

ストロベリーチョコレート。

ストロベリーチョコレートとは、
コンビニやスーパーでも買える身近なお菓子。
我が父親の思い出のようなもの。

イチゴ味のチョコレートというと、
世の中にいろいろありますが、
私が言うのはこれです。

株式会社明治から提供されている
ストロベリーチョコレート。
イチゴ味がしっかりとしてて美味。

その中でも、
26枚の小さなタブレット型のチョコレートが
言葉通りぎっしりと敷き詰められた、
BOX入りのストロベリーチョコレート。

これをみるとふと、
父親のことが脳裏によぎります。

突然ですが、
家にお菓子が常備されているご家庭ですか?
私の実家はそういうご家庭です。

スーパーにたくさん売ってある
ファミリーパックのお菓子が常にあって、
小腹がすいた時も口寂しいときも、
各々が常備菓子をつまみつまみする。
そんな家でした。

つまみつまみする制度ゆえに、
一つ一つがしっかり個包装されている
甘いお菓子が置いてあるのが常だった気がします。
チョコレートとかアルフォートとか。

ポテトチップスとか、
しょっぱい系のお菓子もあったのですが、
それは台所の上の棚にしまわれていました。

家にあるお菓子なのだから、
まあだいたい食べて良かったのだと思うのだけど、
なんだか勝手に食べてはいけないような、
謎の抑止力が働いていた気がします。

(物理的に取りづらかったからかもしれない)
(台に乗らないと届かないくらい高い)

そんなお菓子事情のなかでも、
なんだか特別に思えていたのが、
件のストロベリーチョコレートBOX。

いわばTAKE FREEなお菓子が立ち並ぶなか、
それだけは異彩を放っていました。

それはいつも食卓で父が座る場所の
すぐ近くに置いてありました。

ただ常備されているというわけではなく、
無いときもあればあるときもある。
気まぐれに出現します。

他のお菓子とは違う場所にある。
なんだかちょっと違う。
一線を画したお菓子。

ファミリーパックのビニールでなく、
箱にぎっしり入ったチョコレート。

包み紙。紙ってのがいい。
ピンクにピカピカ光る紙がいい。
折り紙の金銀に似たプレミア感。

そして美味しいのです。
父が時々たまにくれるチョコレートは、
粒々の食感とイチゴの甘酸っぱいのを、
しっかり主張してくるのです。
特別も相まってたいそうおいしいです。

勝手に食べてはいけない特別な、
だけどもとっても美味しいお菓子。
ストロベリーチョコレートに特別なきらめきを、
幼い目は父とともに映してしまったのでした。

あれから大きくなって、
一人暮らしをするようになって、
スーパーにも行くようになりました。

あの特別だったチョコレートたちは、
そ知らぬ顔をしてスーパーに並んでいます。

だけどBOXで買うよりも、
スティックパックとか板チョコとかで
買う方がちょうど良くて。
だから特別な感じは意外にも、
変わらなかったりする。

還暦を迎える父のお祝いに、
ストロベリーチョコレートBOXを添えて送った。
甘酸っぱいチョコレートを、
父はまだ口にしているだろうか。

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