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猫田による猫田のための、プリン。

自分の家で軽率にプリンを作ろうと思い立って、
レンジでそれっぽく作ってみたのは良かったけれど、
出来損ないの茶碗蒸しの味がした。

このときほどお菓子作りは奥が深くて、
舐めてかかってはいけないと思ったことはない。

お菓子作りは好きな方です。
高校生の頃には急に思い立って、
クッキーを焼いたりしたものです。

ただし今の家はオーブンがない。
オーブンがないと作れるお菓子が限られる。
オーブンが無くても作れるお菓子というのは、
探せばそれなりにあるはずなのだけれど、
微弱なセンサーにあまり引っ掛からない。

だからここ数年はお菓子を作ることもありません。
お菓子作りは好きだけど、
「お菓子作りが好きです」と明言は出来ない。

好きなことは多いけど明言できるほどではない。
自分が結局凡庸にしかなれない所以だろう。

まあともかくお菓子を作ることにかけられる、
財力体力精神力諸々の力が足りていない。
だから美味しいお菓子を食べたくなった時には、
お菓子を作ることに生活をかけている、
素敵な方々のお菓子を買って食べるのがちょうど良い。

これはケーキ屋さん洋菓子屋さんに限った話ではなく、
スーパーに並んでいるお菓子皆々にも当てはまる話で。
一日8時間お菓子のことを考えているひとに、
立ち向かおうというのが間抜けな話なのだ。

というのでプリンを食べるときは決まって、
私でない誰かが作ってくれたプリンを食べています。

プリンにはいわゆるかたいのと柔らかいのがある。
でもたぶん硬い柔らかい軸のほかにもう一つ、
ぷるぷるするかしないか、
つまり弾力の軸があるように思うのだけど。
私は硬くてぷるぷるしないプリンが好き。

お皿の上にたしっと立つプリン。
皿を軽くゆすってもあまり形を変えない。
安定感のあるプリン。
うーんかたいプリンが食べたい。

プリンはカップに入っているよりも、
お皿にきれいに盛り付けられている方が、
より魅力的に見える。
きっとそう思うのは私だけではない。

プリンの形が良い、
こげ茶色のカラメルと本体の黄色の、
美味しそうな色のコントラストが良い。
飾らないシンプルな台の形を、
誇らしげに見せる姿が良い。

美味しいものに思い馳せると、
食べたくなるのが世の理です。
困った。お皿にたたずむかたいプリンが食べたい。

かたいプリンと聞いてまず思い浮かべるのは、
「珈琲焙煎所 旅の音」さんのプリン。
まず、といったけれどほかに思い出せない。
唯一に改めて良いでしょうか。改めます。

きっと今まで言ったことのある喫茶店に、
かためのプリンは各所存在してるはずだけど、
なんだか食べるに至ってないようです。

私が「かたいプリンだ」と思って食べた、
唯一のプリンが旅の音さんのプリンということ。

そもそもお菓子を食べるにあたっては、
サクサクとかざくざくとか、
ぱりぱりとかまふまふしたものの方が好き。
だからそこにプリンがあっても、
トロリつるりとしないものを選んでしまう。

だからプリンを食べた記憶がおぼろなんだと思う。
でもプリンのことばかり考えてしまったから、
つるりトロリ欲が増してしまった。

今度プリン食べに行きません?

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