見出し画像

写真展『今森光彦の地球昆虫紀行』。

フジフイルム スクエア 企画写真展
『今森光彦の地球昆虫紀行』

を観に行きました。

私は不勉強で存じ上げなかったのですが
今森光彦さんはフリーランスの写真家で、また切り絵作家でもあり
大津市で里山再生の活動をされている方です。
子守唄がわりに聴いていたラジオ深夜便でお話をされていて
その話がとても面白くて
ちょうど大阪で写真展を開催されているということを知り
しかも土曜日にはギャラリートークもあるとのことで
さっそく行って来ました。

ギャラリートーク前に写真をゆっくり観ておこうと早めに行ったものの
会場は結構な人が来ていました。
今森さんのギャラリートーク。
最初にお花の話をされましたが、後半の昆虫のお話がとくに面白かったです。


キサントパンスズメガの口吻は223ミリメートル!

キサントパンスズメガという蛾。
なんと口吻(ストローの部分)が223ミリメートルもあるのだそうです。
その長いストローを伸ばして蜜を吸っている決定的瞬間が撮られていました。
写真をスケッチしてきましたー。
普段は口元でぐるぐる巻きになっています。
ところが、アングラエクムという蘭の蜜を吸うときには
そのアングラエクムの蜜を貯める部分までの距離がものすごーく長いので
223ミリメートルがぐーーんと伸びて吸うのだそうです。
なぜアングラエクムの蜜を貯める部分までが長いかというと
蜜を吸う昆虫の体に確実に花粉を付けるためらしく
その蜜を貯める部分までの距離が長くなればなるほど
キサントパンスズメガのストローもどんどん長くなる……という
進化の過程で「共進化」をしてきたと。
自然の面白さですね。

アフリカタマオシコガネの転がすフンはソフトボール大!

続いて、アフリカタマオシコガネのお話。
こちらも写真をスケッチしてきました。
フンコロガシが転がすフンはゴルフボール大が普通らしいですが
アフリカタマオシコガネはソフトボールぐらいのを転がすそうです。
大きいです。
今森さんが撮った写真は
オスが転がすフンの上にメスが乗っていて
上からオスの仕事ぶりをじっと見下ろしています。
そして、地面がちょっと坂になっているところでは
そのソフトボールの大きなフンがなかなか転がってくれず
フンを押すオスの腕がプルプル小刻みに震えてきて
カメラを向けている今森さんも思わず
そっとフンを転がしてあげよかなーと思ったとか。
写真は、フンを転がしてるアフリカタマオシコガネと同じ目線で撮影するため
地面に伏せて撮ったそうです。

今森さんが世界を回って撮影された昆虫は
日本では見られない珍しい、また姿形の面白いものが多くて
とくに昆虫に興味のない私が観ても楽しかったですね。
たぶん、今森さんご本人が面白い方で
だから写真も明るくて楽しい雰囲気なんだろうなと思いました。

頭の上に四つのコブを持った虫。

で。
私が印象に残った昆虫の一つヨツコブツノゼミ
なぜにこんな風向計みたいなのを頭に乗っけてるのかしら…。
わざと目立つ部分を頭の上につけて、敵の目眩しをしてるのでしょうか?


最後に今森さんへの質問コーナーがあって
男の子が「写真の中で一番好きなのはどれですか?」と聞いたのですが
今森さんの答えが「なんか、分かるなぁ」と思いました。
今森さんにとって写真は
『人に見せるために撮るもの』で
自分にとってはもう『過去』のもの。
部屋に飾ったり、「いい写真だなー」と眺めたりするものではない。
「写真を撮る時に、目の前にあるものを『観る』ことが自分にとっては一番大事」
だそうです。

蝶々とカブトムシの切り絵。

会場で今森さんへのメッセージを書くと
今森さん特製の切り絵図案のシートをもらえます。
ちゃんと作ってみました。

写真展『今森光彦の地球昆虫紀行』
富士フイルムフォトサロン大阪にて来月8月7日(水)まで開催されています。