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夏フェスに行って、苦しくなったこと

 ロックスターは私だけの彼ではなくて、その人を神様にしてしまわないように気をつけている。ロックスターの流儀を私の生活に取り込むなんてしたくない。変な意味では決してなくて。もしふといなくなってしまったときに、ひどく傷つくのが分かっているから。でも流儀をもつことの大切さとか、素直さとか、隣の人を大切に思う心とか、私が持っていないものを沢山与えてもらっている。いなくなるなんて本気で思ってないよ。ずっとライトの下で愛を奏で続けてくれていると思うよ。本当は。私が彼らを自分だけのものにできないから、悔しいだけなんだ。黒い波の一部でしかない私に、意味を見出せないだけ。
舞台上で、鮮烈なライトに照らされて、黒い黒い叫び出す海みたいな私たちを見て、愛してると言ってくれるのに。そのパフォーマンスで手を伸べてくれるのに。ウソみたいに思う。私が悪い。きっとウソじゃないのに。私は素直じゃない。人に好かれるために道化ができる。カラマーゾフみたいに。でも本音を伝えられない。伝えたらしぬかもしれない、くらい思って生きている。だから、本音だという言葉を疑う。自分にできないから、全身全霊をかけて伝えることをしているひとを疑っている。その愛してるに別の意味を探してしまう。こんなに必死に愛してると言ってくれるのに、伝えてくれているのに。私はその愛にとびつけない。とびつけないのが苦しかった。黒い波の中で気づかれずに、どうして? って泣いた。どうしてこんなに歪んじゃったんだろう、私。輝いてるあなたたちが好き。輝いてゆくあなたたちが好き。

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