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#01 マスクシース開発者 Saya Sayuri 第1回

こんにちは。鈴木美香です。様々なSNSを活用して日々を綴っておりますが、noteでは私個人がものすごく興味のある方への超個人的なインタビュー記事(もどき)を掲載していこうと思っています。文章は稚拙ですが、これまでの経験で培った話の引き出し方で、キラキラと輝く「人の魅力」をお伝え出来たら幸いです。お仕事とは全く関係ありません(笑)
#01 は 高校友人の Sayuri さん。コンセプトが気に入って、応援しているマスクシースの開発者です。



▶あれから〇十年~⁈

と歌うように言って、彼女は微笑んだ。
あの頃とかわらぬ笑顔だった。

あの頃も今も、年齢を感じさせない不思議な存在感のある人――
共に泣き、笑い合った高校時代も、きわめて感覚的で想像力豊か、
でも同時に、まじめな洞察力と考察力を兼ね備えていて――
そして何より「言葉」を自由自在にあやつる才女だった。

まさか、そんな彼女にインタビューする日が来るとは!



――そもそもマスクシース(特許・商標登録申請中)を作ろうと思った
  キッカケは? アイディアはどこからきたの?

いろいろな偶然が重なっているんだけど――
発端は、病気が見つかって、(2020年の)春先に放射線治療することになったこと。
仕事をしながら、朝一で通院して会社に行くスケジュールを組んでいたんだけれど、コロナが蔓延して、治療予定先の病院でも罹患者が出てしまい、
極度の緊張状態に――

家族には「なにも今、そんな大変な治療をしなくても」
と止められたんだけれど、飛行機が落ちた直後と同じく、そんなときだからこそ、皆が普段にもまして気をつけるから却って安全なはず――と
予定通り治療をすることに決めた。

――そういうところ、Sayuriらしい(笑)

そんなときだからこそ、病院がすいていて予約がとりやすい、って事情も
あったしね(笑)。

それで治療が始まって――
治療中は免疫力が下がるから、毎朝、マスクを二重にして緊張しながら満員電車に揺られ、
病院に着くと、すべての荷物をロッカーに入れ、身ひとつで治療室に入るんだけれど
マスクだけは最後までつけていてください、と言われて――
仕方ないから、外面を内側にして折りたたみ、ポケットに入れてた。

以前、大きな病院で秘書をしていた経験から、
「マスクの外面に汚染物が付着するから、とくに外面に触れてはならない」
という強い認識があった。
だから、そんな状況下で、外したマスクをどうするのか、というのが
私にとっては大問題で――
しかも、治療中はMRIのついた暗いトンネルのような装置の中に
1時間くらい入ってなくてはいけなくて、はらはらと涙が――

――コロナと重たい治療が重なり、かなりナーバスになっていたのね。

そう。でも、神さまからのギフトの1つは、放射線治療チームのメンバーがとても親切で、治療中、気が紛れるようにと、私がリクエストしたヒゲダン(Official髭男dism)の曲を毎回シャッフルしてヘッドフォン内に流してくれたこと。

そして2つ目は、治療初日に政府の緊急事態宣言が出たおかげで職場が
テレワークとなり、治療期間中、身体を休めながら仕事と治療の両立が
はかれたこと。

だんだんつらくなるのかと思ったら、初日から吐いてしまい、しばらく動けないほどだったから……

――やはり、治療は大変だったのね。

でも、数週間にわたる治療がおわり、ホッとしたのも束の間、
今度は緊急事態宣言が解除となるやいなや、テレワーク体制も終了し、
すぐに通勤生活が復活――
そんなある日、お客さんを訪ねて行くことになったの。

とても暑い日で、当然マスクをして緊張しながら向かったんだけれど、
喉はカラカラ。
応接室でお茶を勧められ、飲みたいけれど、
人前で話の腰を折らないようにマスクを外すことがためらわれて、
結局、お茶を飲めなかった。

ほら、女性にとってマスクを外すって、ある種の羞恥心というか、
人前で服を脱ぐような恥ずかしさがあるじゃない。
そういうためらいのある行為だからこそ、タイミングを見計らわなくては
ならない、話の腰を折ってはいけない――

そんなことを考えること自体に、極度のストレスを感じたわけ。
いわば、「制約のある生活のなかで受けるストレスに対する、さらなる
ストレス」とでもいうのかな。

――「制約のある生活のなかで受けるストレスに対する、さらなる
   ストレス」か…

そう。
そしたらその翌日、今度は仕事の関係者と中華料理店へ行くことになり――
コロナ対策で、席と席との間隔はあいていたんだけれど、
すぐ前の席へ跳び込んできた長袖Yシャツを腕まくりした男性3人が、
おもむろにマスクを外して卓上にふわっと置いたの。

その人たちのテーブルはちょうど、私の席の真正面にあって――
ただでさえ緊張しているのに、さらに他人が外したマスクの山を見ながら
食事しなければならない、というストレスが加わって。

「ほかの人たちは、外したマスクをどうしているんだろう」という疑問が
わいて、あたりを見まわしたら、
卓上に(しかも外面を卓に接地させて! )置いている人、
椅子の背に掛けている人、
無造作に折りたたんでポケットに入れている人――

――まぁ、みんなそんな感じだよねぇ。
  私も2つに折って、カバンにしまっていたもの。

私は当時、クリアフォルダーを半分に切ったものをカバンに入れていて、
そこに外したマスクを2つに折りたたんで入れていたんだけれど、
同席した女性は、外したマスクを手で伸ばして、そのままジッパーのついたビニール袋に入れてた。

「あれでは外面と内面が袋のなかで隔てられないから、毎回袋の中を除菌
しないといけないなぁ」なんて…そんなことを考えること自体が、さらに
ストレスになって――

――ストレスがどんどん増幅されたのね……

病気になって「氣」が弱まると、
たとえばテーブルの角を見て心がざわついたり、
クリアフォルダーのようなプラスティック製の「かたくてつめたいモノ」にストレスを感じて、遠ざけたくなるんだよね。
それで、

◇持っていて人の心をふんわりと和ませ、
◇人前で話の腰を折ることなく、エレガントにマスクが外せ、
◇かつマスクの外面と内面が、ホルダーの中でくっきり分かれている

そんなふうに全てを解決するアイテムはないだろうか、
と真剣に考えるようになった。

――そういうことを真剣に考え続けるところが Sayuri だなー、って思う。
  何かないかな、って一瞬考えても、次の瞬間にはもう別のことに意識が
  向いてしまったりするじゃない、普通は。
  で、どうなったの?

ずーっと真剣に考えていたら
あるきっかけがあって、頭にパッと浮かんだの。
ほんとうに、「降りてきた」という感じで――。

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                          第2回に続く >>


美しい日本の織物と絹製品の店/Sayuri’s
代表 Saya Sayuri

◆プロフィール
青山学院大学国際政治経済学部・桐蔭横浜大学法科大学院卒業
商社勤務後、ミズノ㈱初の「クラフトウーマン」として同社養老工場試作室へ。当世一流のクラフトマンらとともに、内外のツアープロやトップアマのクラブ作りに携わる。その後、米国西海岸にて法律事務所勤務のかたわらSayuri’s設立。帰国後、聖路加国際病院秘書等を経て、現在に至る。

インタビュー:鈴木美香
写真:橋本剛 @合同会社ムーンベース

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